セッション

シンポジウム
[座長のことば]
 近年、情報技術やデータ基盤整備の向上により、ビッグデータの活用可能性が飛躍的に拡大し、提供する医療や病院運営などの意思決定に活用できるようになりました。国立病院機構では平成22年度よりDPC・レセプトデータを法人で一括して収集・分析する仕組みを構築し、医療の質や病院経営などに必要な様々な分析を行い、各病院にフィードバックしています。このような仕組みを法人全体で構築し、医療の質の均てん化や適正な病院経営を目指すべく実践している団体は我が国にはほとんどありません。
 今回のシンポジウムの冒頭では、がん医療について取り上げます。がん医療は政策課題にもなっており、研究や治療も進歩している一方で、患者の高齢化など患者像も変化してきています。最近のがん治療をとりまく状況を踏まえ、がん診療の質の評価についてご報告します。
 国立病院機構では、平成22年度より、DPC・レセプトデータを活用し、臨床現場に対するデータ収集・分析の負担を最大限に軽減した臨床評価指標(87指標)を開発し、法人内の医療の質の計測を行ってきました。この87指標もだいぶ定着してきたことから、更なる質の向上を目指し、一昨年度よりPDCAサイクルに基づく臨床評価指標の運用の実践をはじめています。これは、計測結果を基に病院で問題点を抽出し、改善策を立案・実行します。一方で総合研究センターでは、病院で実践した医療を反映したDPC・レセプトデータを分析し、現場にフィードバックすることで、PDCAのC(Check)の部分をサポートします。このように病院と総合研究センターがそれぞれの強みを生かして連携することにより、タイムリーなPDCAの展開を実現しています。シンポジウムの中盤では、PDCAを現場で実践する病院とデータを分析する総合研究センターの立場からPDCAサイクルに基づく臨床指標の運用の実際についてご報告します。
 運用している87指標は、4年目を向かえ様々な課題もみえきており、現在、現行指標の修正や新規導入などの見直し作業を行っております。シンポジウムの最後では、この見直しに関するご報告もいたします。
 臨床指標による医療の質の評価がわが国において定着してきている今、更なる発展を遂げるため、フロアの皆様方とご一緒に活発な議論が展開できますことを期待しております。
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