演題

Linear stapler

[演者] 木下 敬弘:1
[著者] 芝崎 秀儒:1, 西田 俊朗:1
1:国立がん研究センター東病院胃外科

腹腔鏡下胃全摘術における食道空腸吻合の安全性に関しては議論の残るところであり、今後phase-II studyであるJCOG1401(縫合不全発生割合:primary endpoint)にて検証予定である。筆頭演者は2004年に腹腔鏡下胃全摘を開始し、これまでに補助下circular再建⇒2008年~体腔内circular再建(体腔内手縫いpurse-string suture法、高位食道切離症例では経口アンビル法)⇒2012年~体腔内linear再建(overlap法)へと手技を変遷させてきた。現在はlinear stapler再建がベストの方法と考え、標準的に施行している。これまでの経験からcircular再建の問題点としては以下のポイントが挙げられる。①吻合部狭窄:当院で施行された腹腔鏡下食道空腸吻合circular再建111例中、C-D分類GradeII以上の縫合不全は5例(4.5%)、内視鏡的止血を要した吻合部出血1例(0.9%)、内視鏡的バルーン拡張術を要した吻合部狭窄16例(14.4%)であった。以前の開腹手術における食道空腸吻合の狭窄発生率は2%台であり、明らかに腹腔鏡下手術で狭窄が高頻度で発生していた。linear再建を含めた152例の臨床データを後方視的に解析し、狭窄発生の危険因子を解析したところ、女性、低身長、circular再建が単変量解析で検出され、多変量解析ではcircular再建のみが独立危険因子として検出された(p=0.001, OR 2.00, 95%CI 0.30-3.38)。原因としては腹腔鏡下では吻合時緊張がコントロール仕切れないこと、空腸間膜処理法、癒着が軽度なため術後も吻合部に緊張がかかりやすいことなどが推察される。②食道高位切離への対応:今後増加が予想される食道胃接合部癌に対する経裂孔アプローチでは縦隔内吻合が必要となる。現在のcircular staplerは本体が大きく腹腔鏡下に縦隔内に再建するには視野確保に無理がある。特に後壁側の視野確保は非常に難しい。経口アンビル法は選択肢の一つではあるが、ブラインドに食道を通過させることにリスクゼロとは言い難いと考えている。③吻合部出血:上記にようにcircular再建では0.9%に止血を要する腔内出血を認めた。Linear 再建では術中に腔内観察が可能でありコントロールは容易である。以上から現存のデバイスを用いる場合、現時点では腹腔鏡下食道空腸吻合はlinear再建に優位な点が多いと考えている。
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