演題

骨盤内臓全摘術における術中出血と術後合併症防止の工夫

[演者] 金光 幸秀:1
[著者] 志田 大:1, 塚本 俊輔:1, 落合 大樹:1, 坂本 良平:1, 田中 征洋:1
1:国立がん研究センター中央病院大腸外科

【はじめに】骨盤内臓器全摘術(TPE)は、現在では安全な術式として、局所進行骨盤内臓器癌に対する確立した術式になっている。しかし、直腸癌手術における骨盤内操作では、深い層に切り込み、あるいは再発時には瘢痕内での操作のため、仙骨前静脈叢や内腸骨静脈損傷による大量出血をみることがある。この様な出血をきたさないためには、骨盤内の臨床解剖をよく理解し、エネルギーデバイスを用いた適切な手技を行なうことが重要であり、もし出血した場合も対応策を習得している必要がある。一方、術後は腸閉塞や骨盤死腔炎を高率に合併するため、二次性縫合不全を予防する目的で、回腸導管・小腸が後腹膜欠損部から骨盤腔に落ち込みすぎない工夫が必要である。【方法】局所初発進展例に対するTPEは、前方ではRetzius腔、側方では膀胱側腔、後方では直腸後腔を指標に遂行する手術である。外腸骨動静脈内側から閉鎖腔、内腸骨血管周囲のリンパ節郭清を広い術野で行い、内腸骨動脈を郭清した後に、上殿動脈が分岐した尾側で内腸骨動脈を2重結紮したうえ切離する。内腸骨動脈切断後は、それより末梢側を愛護的に牽引しながら骨盤壁に穿通する分枝を丁寧に結紮切離する。Santorini静脈叢の処理では、vessel sealing systemを用いてまめな止血切離を行う。内骨盤筋膜を切開し、Santorini静脈叢を外側からひとまとめにバンチング鉗子で挟み込み、刺入結紮を行う。この静脈叢をとくに尿道周囲の骨盤横隔膜部で損傷しないよう注意する。バンチング後の静脈叢末梢側断端には、必要に応じて吸収糸による追加の連続縫合にて止血操作を行う。再発手術の際には、仙骨前面から内腸骨血管にかけては瘢痕が強く、仙骨前静脈叢からの出血がおこりやすい。術野の奥底で内腸骨静脈の枝あるいは本幹を損傷した場合、指あるいはツッペル鉗子で出血点をおさえながら、周囲の剥離を行ない術野を確保する。多くは内腸骨静脈が縦に裂けているため、ツッペル鉗子で静脈の前後を圧迫して裂傷部を確認しながら血管を縫合する。 回腸導管作成後は、術後の腸閉塞や骨盤死腔炎からの二次性縫合不全を予防する目的で、腸管および腸間膜を腹膜と縫合固定し、回腸導管・小腸が後腹膜欠損部から骨盤腔に落ち込みすぎないようにする。【結論】TPEは患者への侵襲が大きく手術時間は長い。術中の出血や術後合併症防止のための工夫が必要とされる。実際の手技を供覧する。
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