演題

RS3-128-9-3

胃癌術後補助化学療法による低栄養と長期生存との関連

[演者] 藤谷 啓一:1
[著者] 川村 泰一:1, 幕内 梨恵:1, 入野 誠之:1, 谷澤 豊:1, 坂東 悦郎:1, 杉浦 禎一:2, 絹笠 祐介:3, 上坂 克彦:2, 寺島 雅典:1
1:静岡県立静岡がんセンター 胃外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科, 3:静岡県立静岡がんセンター 大腸外科

【目的】
手術前の低栄養状態は術後合併症,短期死亡に悪影響を及ぼすとされる.しかし,手術後の栄養状態と長期生存転帰の関連は明らかではなく,術後補助化学療法が及ぼす影響も不明確である.そこで,胃切除後の栄養状態と長期生存転帰との関連,及び術後補助化学療法の影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】
2002年から2013年に当院で原発性胃癌に対して,根治的胃切除を行い,通常時体重,術前体重,術前アルブミンを測定できた症例から術後18カ月以内の胃癌再発,重複癌,術前治療あり,病理学的進行度IV,緊急手術を除外した2416例を対象とした.栄養状態評価に1.489×血清アルブミン値[g/L]+(41.7×現体重/通常時体重)から算出したNRI indexを用い,NRI 97.5超えを正常群,97.5以下を低栄養群と定義した.術前と術後1, 3, 6, 9, 12, 18ヶ月のそれぞれの時点でNRIを評価した.患者背景,腫瘍因子,全生存期間(OS)を後方視的に調査し,両群の比較を行った.術後12, 18ヶ月は術後補助化学療法の有無に層別し,OSを比較した.
【成績】
術前の正常群は2092例,低栄養群は324例であった.術前低栄養群は有意に高齢,BMI低値,PS不良,併存症あり,Stage II,Stage IIIに多く認められた.低栄養群の割合は術前 13.4%,術後の1ヶ月 44.1%,3ヶ月 40.5%,6ヶ月 37.0%,9ヶ月 41.6%,12ヶ月 32.2%,18ヶ月 31.6%であった.術前と術後の全時点で低栄養群はOSが有意に不良であった.術後18ヶ月において,補助化学療法なしではHR 3.36 (p < 0.01)と低栄養群のOSが不良であったが,補助化学療法ありではHR 1.56 (p = 0.20)と有意差を認めなかった.術後補助化学療法ありのみを対象として,術後12ヶ月から18ヶ月が正常群のまま推移した症例と比較して,低栄養群のまま推移した症例はHR 2.62 (p = 0.02)とOSが不良であったのに対し,低栄養群から正常群に改善した症例はHR 1.07 (p = 0.90)と有意差を認めなかった.
【結論】
術後いずれの時点においても低栄養状態と長期生存転帰不良が関連していた.また,術後補助化学療法中の一過性の低栄養状態は許容し得る可能性が示唆された.
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