演題

RS3-128-9-2

幽門側胃切除後の膵外分泌機能と栄養状態への影響

[演者] 杉沢 徳彦:1
[著者] 工藤 克昌:1, 武者 宏昭:1, 田中 直樹:1, 井本 博文:1, 青木 豪:1, 大沼 忍:1, 元井 冬彦:1, 内藤 剛:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

【はじめに】
胃癌術後の栄養障害には,食事摂取量の減少や消化吸収機能の低下など様々な要因が関わっている.膵外分泌機能の低下は栄養障害の要因の一つと考えられているが,胃切除後の膵外分泌機能についての検討は少ない.膵外分泌機能の評価法として,キモトリプシンの働きを調べるBT-PABA試験は簡便であり,胃切除後も実施可能である.今回,幽門側胃切除後の膵外分泌機能と栄養状態への影響を明らかにする目的で以下の検討を行った.
【対象と方法】
2014年3月から2016年10月までの間に,胃癌に対してBirlloth-I再建の幽門側胃切除術を施行した症例のうち,術後7日目に経口摂取が安定していてBT-PABA試験を実施できた71例を対象とした.このBT-PABA試験ではPFD試薬内服後の蓄尿検体から尿中PABA排泄率(以下uPABA%)を測定した.膵外分泌機能の低下とされるuPABA%≦70%の低下群とuPABA%>70%の良好群とに分類し,臨床病理学的因子について後ろ向きに検討を行った.栄養状態の評価には,血清アルブミン,総蛋白,総リンパ球数の3つの項目から算出されるCONUT (controlling nutritional status) 値を用いた.
【結果】
uPABA%の中央値(範囲)は59.2(4.1-100)%であり,低下群48例(67.6%)と良好群23例(32.4%)に分類した.年齢は中央値(範囲)で低下群69.5(45-89)歳,良好群67(57-88)歳であり(p=0.43),性別は男/女で低下群34/14,良好群11/12であった(p=0.07).Clavien-Dindo grade II以上の術後合併症を低下群9例(18.8%),良好群2例(8.7%)に認め(p=0.48),術後在院日数の中央値(範囲)は低下群11(8-36)日,良好群11(8-17)日であった(p=0.89).術後1ヶ月での体重減少率は中央値(範囲)で低下群7.1(3.3-13.6)%,良好群4.9(1.1-10.7)%であった(p=0.05).CONUT値の中央値(範囲)について,術前は低下群1(0-7),良好群1(0-9)であり(p=0.08),術後1ヶ月目で低下群3(0-10)は良好群2(0-9) よりも高値であった(p=0.04).特に,中等度以上の栄養障害とされるCONUT値が5以上の症例は低下群14例 (29.2%),良好群1例(4.3%)と有意差を認めた(p=0.03).
【結語】
Birlloth-I再建の幽門側胃切除症例では67.6%で術後7日目のuPABA%が70%以下であり,膵外分泌機能が低下している可能性が示された.このuPABA%≦70%の症例では術後1ヶ月目のCONUT値が高値となる症例が多く,術後の栄養障害に関連している可能性が考えられた.
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