演題

RS3-127-9-5

食道癌術前治療中の栄養指標変化による周術期感染性合併症の予測

[演者] 神谷 蔵人:1
[著者] 中野 徹:1, 櫻井 直:1, 谷山 裕亮:1, 瓶子 隆弘:1, 武山 大輔:1, 佐藤 千晃:1, 小関 健:1, 宮田 剛:2, 亀井 尚:1
1:東北大学大学院 先進外科学, 2:岩手県立中央病院 消化器外科

【目的】食道癌の周術期においては合併症の発生や重篤化する事が多いと言われている.また,周術期合併症の発症は入院期間の延長のみならず,患者の長期予後を損なう一因と考えられている.術前に積極的な栄養介入を行うことで合併症の予防が期待されているが,経口摂取可能な症例に対して介入することは種々の問題点がありなかなか十分な栄養管理を行うことは難しい.今回我々は食道癌術前治療患者において,その治療前・治療中の栄養指標の経時的変化と感染性合併症の発生との関連を検討し,栄養介入すべき症例を絞り込むことを目的とした.
【対象】2008年~2015年に当院でJCOG 9907 protocolに準じたCDDPと5FUによる術前治療2コース終了後に,胸腔鏡下食道切除術を施行した68症例を対象とした.術前治療前と術前治療中の2点でControlling Nutritional status (CONUT) score, Neutrophil/Lymphocyte rate(NLR)を測定し周術期感染性合併症(縫合不全・肺炎)の発生との関連を検討した.
【結果】感染性合併症は18例(26.5%),内訳は肺炎14例(20.6%)・縫合不全7例(10.3%)であった.感染性合併症発生群(A群)と非発生群(B群)で治療前および中の各CONUT値・NLRに差は認めなかった.経時的変化としてCONUT値およびNLRの改善・悪化を評価したところ,B群でCONUT値改善が症例が多い傾向にあった(A群 5.6% vs B群 26.0%, p=0.066)が,その他の項目で統計学的な有意差を検出することはできなかった.サブ解析として肺炎・縫合不全発症症例をそれぞれ同様の解析を行ったところ,肺炎発生群は非発生群と比較して CONUT悪化群が多く(71.4% vs 35.2%, p=0.015),CONUT改善群が少なかった(0% vs 25.9%, p=0.033).一方縫合不全発生群はNLR悪化群が非発生群に比較して多かった(42.9% vs 8.2%, p=0.007).
【結論】食道癌術前治療中のCONUT値・NLRの経時的変化を評価することで,周術期感染性合併症を予測できる可能性が示唆された.食道癌周術期においては術前治療施行中から適切な栄養管理が重要であり,これらの指標を基に積極的介入症例を選別することで,合併症の予防・低減が期待できると考えられる.
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