演題

RS3-127-9-1

食道癌手術症例における骨格筋量減少および筋脂肪化が術後成績に与える影響と腫瘍宿主相互反応との関連

[演者] 毛利 靖彦:1
[著者] 市川 崇:1, 今岡 裕基:1, 安田 裕美:1, 吉山 繁幸:1, 大井 正貴:1, 藤川 裕之:1, 小林 美奈子:2, 荒木 俊光:1, 楠 正人:1,2
1:三重大学大学院 消化管・小児外科学, 2:三重大学大学院 先端的外科技術開発学

【目的】 筋力低下は,筋量の減少と筋肉の脂肪化によるとされている.我々は,食道癌切除症例における術前筋肉量と筋肉脂肪化が,術後成績に与える影響と腫瘍宿主炎症相互反応との関連について検討した.
【方法】 対象は,食道癌の診断にて切除を施行した114例.筋肉量と筋肉の脂肪化は,術前単純CTにて,臍レベルでの大腰筋PMI(Psoas muscle mass index;腸腰筋面積(㎠)/身長の2乗(㎡);PMI低値は筋肉量低下を反映),多裂筋IMAC (intramuscular adipose tissue content; 多裂筋のCT値/皮下脂肪のCT値にて計測;IMAC高値は筋肉の脂肪化を反映)にて評価した.検討項目は,1)男女別術前PMI,IMAC,及び各種臨床病理学的因子との相関,2)PMI,IMACにて層別化した群間での術後合併症の比較,3)術後合併症に対する独立危険因子(多変量解析),4) PMI,IMACと腫瘍宿主炎症相互反応の指標である好中球・リンパ球数比(NLR),CRP,およびアルブミン値との関連,5)術後生存に対するPMI,IMACが予後に与える影響について検討した.
【結果】 1)PMIは男性で,IMACは女性で有意に高値(各々p<0.001, p<0.001)であり,男性ではIMACと年齢に正の相関,女性ではPMIと年齢に負の相関を認めた.2)IMAC高値群で有意に術後合併症の頻度は高いが,PMI低値群および高値群に発生頻度に有な差は認められなかった.3)IMAC高値は,手術時間(590分以上),出血量(410ml以上)とともに独立した術後合併症発症危険因子であった.4)女性では,IMACとCRPが正の相関の傾向を認めたが,PMIと腫瘍宿主炎症相互反応関連指標と相関は認められなかった.男性では,IMACとCRPが有意な正の相関を認め,PMIとアルブミン値が有意な正の相関を認めた. 5)PMI低値は,独立した予後不良因子であった.
【結語】 術前骨格筋質の低下が術後合併症発症に影響を与え,骨格筋量の低下が予後に影響を与えていた.骨格筋脂肪化および筋肉量の減少は,腫瘍宿主炎症相互反応との関連がみられ,この問題を解決となる糸口であることが示唆された.
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