演題

SY04-2

本邦での脳死膵臓移植における安全基準の検討

[演者] 浅岡 忠史:1
[著者] 江口 英利:1, 伊藤 壽記:1, 後藤 邦仁:2, 山田 大作:1, 野田 剛広:2, 和田 浩志:1, 川本 弘一:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:2
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ, 2:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

【背景】本邦における脳死臓器提供数に占める膵臓提供の割合は年間約35例で全体の約60%程度の提供率となっており,ドナー不足の問題から,レシピエントの待機期間が延長する傾向にある.このような背景のもと,本邦では,欧米での基準を超えるマージナルドナーの占める割合が多く,約60%を占めるにもかかわらず,良好な成績を維持しており,欧米とは異なる,本邦独自の安全基準の確立が必要と考えられている.
【目的】脳死膵臓移植における本邦独自の安全基準について検証した.
【対象と方法】膵・膵島移植研究会に登録された全17施設にて2000年から2015年12月末までに施行された脳死膵臓移植246例を対象として,グラフト予後に関するリスク因子についてretrospectiveに解析した.
【結果】ドナー背景は,年齢43(6-72)歳で,45歳以上が46%を占めていた.BMI 21.6 (11.4-34.3),術前HbA1cは5.4(4.3-7.7)%,死因は脳血管障害が124例(51%)と最も多く,次いで頭部外傷47例(19%),低酸素脳症31例(13%),その他43例(18%)であった.昇圧剤を2種類以上要する症例は121例(49%)に見られた.一方,レシピエント背景は,年齢43(24-66)歳,BMI 20.4(14.6-30),糖尿病歴は27(6-49)年,術前透析例が208例(83%)であった.周術期因子については,術式は膵腎同時(SPK)/膵単独(PAK/PTA):199/37/10例,膵グラフト虚血時間は704(338-1383)分で,グラフト胃十二指腸動脈の再建を施行した症例は124例(51%)であった.グラフト予後に関する解析では,術式(PAK/PTA,p<0.01)と糖尿病歴(40年以上,p=0.03)がそれぞれ有意な予後不良因子であった.また,ドナー選択基準としては①年齢60歳以上,②死因が脳血管障害,③HbA1c 6.0%以上の3項目のうち,2項目以上に合致したドナーをマージナルとした場合に有意にグラフト予後は不良であった(5年グラフト生存,Marginal/ Non Marginal: 48%/77%,p=0.014).
【結語】本邦における脳死膵臓移植の安全性確保には,本邦独自のドナー選択基準とレシピエントのリスク評価に基づき,手術適応を検討する必要があると思われた.本研究は膵臓移植症例登録委員会(膵・膵島移植研究会)の協力のもと,全国登録17施設のデータをもとに解析を行った.
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