演題

RS3-139-12-3

緩和医療における腹腔鏡下人工肛門造設術とバイパス術の有用性

[演者] 黒島 直樹:1
[著者] 蒲原 行雄:1, 山口 峻:1, 藤井 美緒:1, 東 尚:1
1:長崎県島原病院 外科

【緒言】切除不能な消化器癌患者に対する外科的治療として,QOLの改善や化学療法を行える状態にする事を目的に行う人工肛門造設術やバイパス術が挙げられる.当科では2016年4月以降,腹腔鏡下の人工肛門造設術およびバイパス術を導入しており,その安全性や有用性について過去の開腹下人工肛門造設術およびバイパス術症例と比較検討した.
【対象と方法】当科にて2016年上半期に行われた切除不能な消化器癌患者に対する腹腔鏡下人工肛門造設術およびバイパス術症例11例と,当科にて過去3年間に行われた人工肛門造設術,バイパス術症例のうち,切除不能な消化器癌症例に対し症状緩和のために手術が行われた症例28例を対象とし,患者背景(年齢,術前合併症,ASA,PS)および術後経過(術後合併症,入院期間)について検討した.
【結果】鏡視下群における高齢者(75歳以上)の割合は45.4%で,90歳以上は36.3%であったのに対し,開腹群では高齢者は57.1%,90歳以上は17.8%であった.術前合併症の有無,術前の全身状態(ASAとPS)については両群で有意差は認めなかった.術後合併症に関しては,鏡視下群では一例も認めなかったのに対し,開腹群では32%に認められた.術後合併症の内訳としては,イレウスが3例,皮下の膿瘍形成と創離開が2例,人工肛門の腸管脱出が1例,人工肛門の粘膜壊死が1例,嘔吐とそれによる誤嚥性肺炎が1例,腸炎が1例であった.入院期間に関しては個々の患者の人工肛門パウチ交換の習熟や社会的理由による入院延長などによりばらつきがあった.
【結論】緩和目的の鏡視下手術は,創の縮小に加え,腹腔内を俯瞰し確認できるので,無理な緊張のかからない腸管の選択,手術操作が可能であった.切除不能な消化器癌患者に対する腹腔鏡下人工肛門造設術およびバイパス術は,低侵襲で,超高齢者や全身状態が低下した患者に対しても合併症なく安全に行う事ができる手術である事が示唆された.
詳細検索