演題

RS3-139-12-1

進行再発癌における消化管通過障害に対する姑息的手術の検討

[演者] 花岡 裕:1
[著者] 建 智博:1, 福井 雄大:1, 富沢 賢治:1, 戸田 重夫:1, 森山 仁:1, 的場 周一郎:1, 黒柳 洋弥:1, 橋本 雅司:1, 宇田川 晴司:1
1:虎の門病院 消化器外科

【背景】癌診療の中で,消化管通過障害という問題は患者に大きな不利益をもたらす.食事摂取の中止に限らず,腹部膨満,腹痛といった自覚症状や,化学療法の中断などの癌治療の選択肢を制限する可能性もある.この状況の中で消化器外科医は,最低限の侵襲で最大限の効果を上げる治療を提供しないといけない.オクトレオチド製剤やステント治療が発展する中で,手術療法の適応を検討した.【対象】2010年4月より2016年12月現在までに,当グループで消化管通過障害に対して姑息的手術を施行した70症例,.初回手術後,根治切除を施行した症例は除外した.【結果】男女比37:33,年齢(以下中央値)63(38-88),原病としては原発性結腸癌7,原発性直腸癌23,結腸癌再発9,直腸癌再発11,婦人科癌8,乳癌6,泌尿器癌2,血液腫瘍2,小腸癌1,膵癌1であった.手術前より化学療法を施行されていた症例が37例あった.術式は2例を開腹下に68例を腹腔鏡下に施行.人工肛門造設46例,バイパス17例,病変切除7例であった.手術時間106分(50-227),出血量0(0-600)であった.1例を除いて食事摂取が可能となり,開始日数は3日(2-14),術後在院日数は20日(7-189)であったが,5例に原病の悪化に伴う在院死を認めている.術後に化学療法を42例で導入しており,術後12日(4-170)で開始可能であった.47例(69%)が死亡しており,生存期間は182日(14-1242)であった.術後合併症としてストマ壊死を1例,ARDS1例,創感染2例を認めた.また腸閉塞再発のため再手術をした症例が2例あった.【考察】姑息的手術は1.食事摂取の開始.2.腹部症状の緩和.3.さらなる治療の継続というのが目的と考えている.食事摂取は1例を除いて全例で開始できており,十分に満足する結果であった.腹部症状の改善も多くの症例で認めたものの,原病の増悪によって再度出現しており,効果は限定的ともいえる.化学療法は60%の症例で導入できており,一定の役割を果たしていると思われる.今回の対象症例では合併症のために化学療法を導入できなかった症例はARDSを発症した1例だけであった.【結語】姑息的手術それだけでは生命予後を延長させる効果は少ないものの,化学療法の再導入や,終末期のQOLを向上させる可能性を秘めている.それだけに合併症を最低限にする十分な準備が必要と考える.
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