演題

RS3-138-12-6

地域包括的がん診療のために外科医は何をなすべきか?

[演者] 瀬戸山 博:1
[著者] 目片 英治:1, 太田 裕之:1, 小島 正継:1, 油木 純一:1, 長谷川 正人:1
1:東近江総合医療センター 外科

【目的】病巣治療から終末期医療まで切れ目のない適切な診療とケアは,医療連携により実現されることは論をまたない.病院,在宅を問わない包括的がん診療において,外科医が地域医療の中で果たすべき役割について検証を試みた.
【方法】平成24年7月から平成28年11月までの52ヶ月間,医療連携により抗がん治療(手術・化学療法・緩和ケア)開始または途中から看取りまでを行った,進行・再発がん患者22症例の,介入医療資源,提供サービス内容,診療期間,看取りの場などに関した後ろ向き検討を行った.
【結果】患者年齢は中央値77歳(51-98).原発巣は,上部消化管10,下部消化管9,膵・胆道3,前立腺1,肺1.治療歴は,手術後再発13,姑息的手術後3,化学療法不応5,積極的治療拒否1.かかりつけ医は16施設で,連携医療資源は,訪問看護ステーション8か所が14例に,かかりつけ薬局4店舗が7例に介入していた.退院前に多職種協働カンファレンスを19例で開催,患者情報共有法は,県緩和ケア地域連携クリニカルパス4,診療情報提供書4,連絡帳1,ツールなし6.在宅介入医療は,往診,訪問診療,看護,歯科診療,服薬指導により,疼痛緩和・看護・指導,補液,入浴介助,リンパドレナージ,口腔ケアなど多岐にわたるサービスが提供されていた.連携診療期間(連携開始から看取りまで)中央値は2.25ヶ月(0-31).看取りの場は,病院13,在宅8,不明1.
【考察】連携医療機関は,機能により2パターンに大別された.逆紹介を受けた診療所が地域医療資源と協働する「在宅主治医型」が7件,がん診療中に自宅で発症した有害事象の支持療法を提供する「支持療法参加型」が7件.「在宅主治医型」診療所との連携は,診療所主導によりほぼ全ての患者は在宅で看取られ,病院外科医の役割はオンコロジカルエマージェンシーへの24時間対応を確約することにあった.一方,「支持療法参加型」診療所との連携では,全ての患者はがん随伴症状進行や化学療法副作用増悪を契機に再入院し,終末期を病院で過ごした.病院外科医の役割は,地域医療資源との連携を主導して再入院までの在宅生活の質と量を向上させることにあった.
【結語】現状において包括的がん診療を提供するためには,かかりつけ医機能に応じた医療連携のスタイルをコーディネートすることが外科医に求められ資質のひとつである.
詳細検索