演題

RS3-137-12-6

緩和消化管手術の適応指標としての予後栄養指標 (Prognostic nutritional index, PNI)

[演者] 下村 学:1
[著者] 豊田 和広:1, 小野 紘輔:1, 築山 尚史:1, 志々田 将幸:1, 大石 幸一:1, 宮本 和明:1, 池田 昌博:1, 貞本 誠治:1, 高橋 忠照:1
1:東広島医療センター 外科

背景:人工肛門造設やバイパスなどの緩和手術は,悪性消化管閉塞などの症状緩和に有効な治療手段であるが,転移性病変が高度な場合や,患者の全身状態が不良な際には,適応に迷う場合がある.手術適応指標の確立は,不必要な手術の回避や,他の代替治療の選別に有用となる.近年,患者の栄養状態の指標の一つである予後栄養指標(Prognostic nutritional index, PNI)は,手術合併症の予測に有用で,悪性腫瘍の予後因子であることが報告される.
対象と方法:悪性消化管癌に対して緩和手術を施行した41例(2009年3月-2015年12月)を対象とし,治療成績,予後因子の検討を行った.特にPNIに着目し,緩和手術の適応について考察した.
結果:男性25例,女性16例.年齢中央値75歳(37-92).大腸癌37例,胃癌4例.手術理由としては,イレウス:13例,高度狭窄:19例,瘻孔:4例,疼痛:3例,出血:2例.術式は回腸瘻:6例,結腸瘻:25例,バイパス術:10例.観察期間中央値は7.6か月(0.2-76.8).Grade2以上の術後合併症は9例(22.0%)であり,術後1か月以内の死亡は2例(4.9%)だった.術後経口摂取は40例 (98%) に可能であり,術後退院は29例 (71%) で可能だった.術後,消化管閉塞により経口摂取不能となったのは3例のみだった.後治療としての化学療法は24例(59%)に施行され,全生存期間中央値は12.3ヶ月であった.
術後合併症発生の危険因子解析では(性別(男性/女性),年齢(低/高),診断(胃癌/大腸癌),術式(人工肛門/バイパス),腸閉塞有無,遠隔転移有無,腹膜播種有無・程度,腹水細胞診(陰性・陽性),組織型(分化型・未分化),CEA値(低・高),原発巣切除有無,前治療有無,PS(0,1/2,3),PNI (低/高))の中で,PNI低値のみが有意な危険因子であった.死亡例2例はPNI低値だった.これらの因子に合併症有無を加えた予後因子解析では,腹水有,PNI低値のみが独立した予後因子だった.PNI低値例における生存期間中央値は5.6か月と不良だった.
考察:緩和手術において,術前のPNIは短期,長期の治療成績を予測し,腫瘍の進展状況に依存しない手術適応の指標になり得る.
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