演題

RS3-137-12-3

進行胃癌の緩和治療における緩和手術の役割

[演者] 川口 清:1
[著者] 藤本 博人:1, 磯部 秀樹:1, 浦山 雅弘:1, 布施 明:1, 太田 圭治:1
1:山形済生病院 外科

【はじめに】緩和治療における消化器外科医の役割の一つに緩和手術がある.胃癌に対する緩和手術の自験例を検討し,意義について考察する.【方法】2001年1月から2016年10月までの,胃癌治療ガイドラインに定義される緩和手術施行96例を対象に,緩和手術の適応理由,非治癒因子,手術術式,合併症,症状の緩和率,術前後のPSの変化,化学療法併用の有無,生存率,長期生存例と短期死亡例を検討した.【結果】緩和手術適応の理由は,狭窄による摂食障害66例,持続する出血14例,その両者11例,化学療法中の胃癌穿孔3例.手術術式は全摘33例,幽門側胃切除34例,噴門側胃切除6例,胃空腸吻合20例,胃瘻造設1例.合併症は膵液瘻4例,腹腔内膿瘍1例,術後出血1例,創感染4例などで多くなく,術死はなかった.非治癒因子は腹膜播種50例,遠隔リンパ節転移25例,肝転移27例,その他8例で以上の2因子重複が5例,3因子以上重複が2例であった.症状の緩和率は摂食障害,出血,両者の重複に対し,それぞれ89%,100%,82%であった.術前PSより術後改善したのは10%,低下したのは9%であった.全体のMSTは9か月で1生率は30%.2生率は16%,5生率が2%であった.化学療法を併用された症例は53症例でありMSTは11か月,1生率42%,2生率23%で,5生4%で,化学療法非施行例のMST5か月,1生率12%にくらべ有意に生存率が良好であった(P<0.02).化学療法施行例と非施行例を分けて,非治癒因子別,術式別,PS別,80歳以上と以下で生存率を比較したが有意差がなかった.緩和手術後2年以上の生存例は13例で術前のPSが1以下で,胃切除が施行され,化学療法を併施している症例が多かった.また,緩和手術の目的が達せられず入院死あるいは2か月以内に死亡した症例が16例あり,バイパス手術例,合併症併発例,化学療法非施行例などの因子が絡んでいた.【結語】胃癌に対する緩和手術は安全に目的を達成できることが多く,緩和治療において消化器外科医の重要な役割と思われる.しかし,結果が思わしくないこともあり,術前のインフォームドコンセントを十分に得ることと,合併症を起こさないことが肝要である.
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