演題

RS3-137-12-2

切除不能膵癌摂食困難例に対する胃空腸バイパス術の有用性と課題

[演者] 寺井 太一:1
[著者] 赤堀 宇広:1, 木下 正一:1, 長井 美奈子:1, 中村 広太:1, 山田 高嗣:1, 野見 武男:1, 北東 大督:1, 金廣 裕道:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

【目的】切除不能膵癌においては,局所進展や播種性病変による消化管狭窄の結果,外科的介入を要する症例をしばしば経験する.今回,切除不能膵癌摂食不良例に対して施行した胃空腸バイパス術の有用性と課題を検討した.【方法】2009-2015年に当科で胃空腸バイパス術を施行した切除不能膵癌患者28例を対象とした.患者背景,術後食事摂取率,化学療法施行率,合併症,術後生存期間等を検討し,さらに予後因子解析を行った.【結果】平均年齢66.6歳,男性16例,女性12例.切除不能理由は,局所進行17例(60.7%),遠隔転移11例(39.3%)で,治療前発症が11例(39.3%),治療中発症が17例(60.7%)であった.狭窄部位は胃3例(10.7%),十二指腸球部4例(14.3%),下行脚6例(21.4%),水平脚12例(42.9%),Treitz靭帯付近3例(10.7%),術式はDevine変法19例(67.9%),胃空腸側々吻合9例(32.1%)であり.全例開腹術にて行った.平均手術時間116±5.9分,出血量18.0±7.1ml.術後合併症は7例 (25%)に認め,内訳は,DGE3例,吻合部潰瘍出血2例,縫合不全1例,急性胆嚢炎1例であり,Clavien-Dindo分類Ⅲa以上のものは3例(10.7%)であった.固形食は26例(92.9%)で摂取可能となり,開始日の中央値は術後5.5日(3-14日)であった.退院可能であったものは22例(78.6%)で,20例(71.4%)に術後化学療法を施行し得た.また,退院不能であった6例(21.4%)のうち4例は,一時的には食事摂取可能となった (術後中央値31.5日).退院不能例は,退院可能例に比して,遠隔転移例(83.3% vs. 27.3%,P=0.013),術直前アルブミン低値(2.8±0.5mg/dl vs. 3.5±0.3mg/dl,P=0.043),治療中発症(100% vs. 50%,P=0.026)が有意に多く,生存期間中央値は(1.3M vs. 9.9M,P<0.001)と有意に低かった.全体の術後生存期間は中央値で8.3M(0-34.5M)であった.全28例において,予後因子解析を行った.単変量解析ではUICC T3(P=0.039),治療中発症(P<0.001),modified Glasgow Prognostic Score≧1(P=0.005),術後化学療法なし(P<0.001)が有意な予後不良因子であった.さらに多変量解析では,術後化学療法なし(HR=14,3,P<0.001) が,唯一の独立予後不良因子であった.【結語】切除不能膵癌摂食困難症例に対する胃空腸バイパス術は,摂食状況改善,QOL改善には有用と思われた.予後延長には術後化学療法が必須である一方で,顕著な臨床効果を認めなかった症例も少なからず存在し,今後の課題と思われた.
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