演題

RS3-137-12-1

手術中に切除不能と判断した膵頭部癌に対するバイパス手術の検討

[演者] 黒崎 亮:1
[著者] 荒川 和久:1, 富澤 直樹:1, 清水 尚:1, 高橋 憲史:1, 榎田 泰明:1, 岡田 拓久:1, 星野 万里江:1, 八木 直樹:1, 安東 立正:1
1:前橋赤十字病院 外科

膵頭部癌では,手術中に根治的切除不能と判断されることがある.このような時にバイパス手術を行うべきかどうか,また,バイパス手術はどのような術式で行うべきかについて検討を行った.
対象は,2005年より2016年に,当院にて膵頭部癌の診断にて治療を行った症例のうち,開腹手術を行い,切除不能と判断された26例.このうち12例が根治切除(膵頭十二指腸切除)を目的にして手術を開始したが切除を断念した.13例がバイパス手術を目的として手術を行い,1例は開腹生検術を目的として手術を行っていた.根治切除を目的として手術を行った12例のうち,11例でバイパス手術を,1例で試験開腹術(バイパス手術なし)を行っていた.この切除を目的として手術を開始し,術中にバイパス手術に変更となった11例のうち,9例で胆道空腸・胃空腸バイパス術(胆道胃バイパス群)を行っており,2例で胃空腸バイパス術のみ(胃バイパス群)を行っていた.胆道胃バイパス群の平均手術時間は279分,平均出血量は412mlであった.また,胃バイパス群の平均手術時間は118分,平均出血量は75mlであった.術後合併症は,胆道胃バイパス群で食欲不振が2例,創感染を1例に認め,胃バイパス群で胆管炎と食欲不振を1例に認めた.また,試験開腹術の1例では術後に胆管炎を認めた.膵癌の急速進行による術後在院死を胆道胃バイパス群で1例に認めた.9例で術後に化学療法を施行することができたが,胆道空腸バイパス群の中で胆嚢空腸バイパスを行った1例で胆管炎を合併し,経皮経肝胆道ドレナージが必要であった.
手術中に切除不能と判断した膵頭部癌に対しては,バイパス手術は安全に施行することができた.胆管炎の予防のためには胆道バイパスも同時に行うことが有用であり,可能であれば胆嚢ではなく胆管との吻合がよいことが示唆された.一方で胆道バイパス併施症例では,手術時間と出血量の増大を認めた.これに関しては,膵頭十二指腸切除を目的として手術を開始しており,手術侵襲については許容できるものと考えられた.切除不能の膵癌では,化学療法を行うことが一般的であり,化学療法中の合併症予防,さらには緩和療法のために,胆管空腸バイパスと胃空腸バイパスを同時に行うことが推奨されるものと考えられた.
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