演題

潰瘍性大腸炎術後の難治性回腸嚢関連合併症に対するsalvage手術

[演者] 荒木 俊光:1
[著者] 大北 喜基:1, 藤川 裕之:1, 安田 裕美:1, 廣 純一郎:1, 吉山 繁幸:1, 問山 裕二:1, 小林 美奈子:2, 大井 正貴:1, 楠 正人:1,2
1:三重大学大学院 消化管・小児外科学, 2:三重大学大学院 消化管・小児外科学

大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術は潰瘍性大腸炎に対する標準的かつ根治的治療である.それと同時に,残存する腸管のリザーバー機能と肛門括約筋機能を最大限に活用した究極の術式であることから,合併症を発生した時のリカバリー方法が極めて難しい.本術式における回腸嚢関連合併症には様々な病態が存在し,その原因や正しい診断を下すことは容易ではない.
最も多く発生する回腸嚢炎の多くは抗生剤の投与で改善するが,難治に至るものも少なからず存在する.この中には縫合不全や骨盤内感染,あるいは術後肛門機能不全などに起因する二次性回腸嚢炎が含まれ,これらの鑑別重要となる.このように,難治性の回腸嚢関連合併症に対しては,まず様々な検査デバイスを用いた正確な原因と病態の解明が必須である.原因部位の感染コントロールがその後のsalvage手術治療成績に大きな影響を与えることを認識し,保存的療法が選択可能か,あるいはドレナージや人工肛門造設などのsalvage手術が必要かを判断する.感染がコントロールされた時点で,肛門機能の再評価を行い,次の手術術式を決定する.
われわれは2000年から2016年までに難治性回腸嚢関連合併症81例(吻合部縫合不全13例,骨盤膿瘍8例,会陰部瘻孔25例,回腸嚢膣瘻12例,回腸嚢瘻11例,残存直腸炎,回腸嚢捻転など各1例)に対して239回のsalvage手術(うち再回腸嚢肛門吻合26)を実施している.これまでの回腸嚢温存率は61.5%であった.
回腸嚢および肛門の機能温存率をさらに高めるため症例を集積し,課題を明らかにして適切な治療指針を作成していく必要があると考えている.
詳細検索