演題

RS1-36-14-3

腹部外傷手術例における予後因子の検証

[演者] 寺崎 史浩:1
[著者] 金岡 祐次:1, 原田 徹:1, 亀井 桂太郎:1, 前田 敦行:1, 高山 祐一:1, 深見 保之:1, 高橋 崇真:1, 尾上 俊介:1, 宇治 誠人:1
1:大垣市民病院 外科

【背景】
多発外傷に対する予後不良因子として,死の3徴(低体温,アシドーシス,凝固異常)が一般的であるが,腹部外傷の緊急手術症例における予後不良因子の報告は少ない.
【目的】
緊急手術を必要とする腹部外傷患者の予後不良因子を明らかにする.
【対象】
2006年1月から2016年10月までに外傷のため当院に搬送され,腹部臓器損傷を認めた253例中,緊急開腹手術を施行した64例.
【方法】
対象64例を救命群(S群,n=56),死亡群(D群,n=8)に分け,年齢,性別,来院時のVital Sign,意識レベル(Glasgow Come Scale (GCS)),血液検査所見,受傷機転,損傷臓器,手術時間,術中出血量,輸血量を後方視的に解析した.カットオフ値はROC曲線を用いて設定し,単変量解析で有意差を認めた因子を,2項ロジスティック解析を用いて多変量解析を施行した.
【結果】
対象例の平均年齢はS:D=45.8:64.8歳(p=0.02),男/女はS:D=38/18:5/3(p=0.76)であった.受傷機転は交通事故45例,転倒・転落8例,鋭的外傷6例,その他の鈍的外傷5例で受傷機転,受傷部位に有意差を認めなかった.来院時Vital Sign(S:D, average)では脈拍89:106 回/分(p<0.01),体温36.6:35.4℃(p=0.02),呼吸数21:31回/分(p<0.01)で有意差を認めたが,血圧113/69:102/59 mmHg (収縮期/拡張期,p=0.37/0.45)において有意差は認めなかった.GCS (S:D, average) は13.9:8.5(p<0.01)で有意差を認めた.来院時の動脈血ガス分析 (S:D, average)ではpH 7.39:7.24(p<0.01),Lac 28.5:79 mg/dL(p<0.01),Hb 11.4:8.9 g/dL(p<0.01)で有意差を認めたが,pCO2,pO2,Caでは有意差を認めなかった.手術時間 (S:D,average) は 107:92分(p=0.56),出血量 (S:D,average) は 1390:3778 g(p<0.01).輸血量 (S:D, average)は,濃厚赤血球(RCC-LR)7.8:27.5 U(p<0.01),新鮮凍結血漿(FFP)6.93:21.3 U(p<0.01),アルブミン製剤20:63 g(p<0.01)で有意差を認め,血小板輸血は2.86:2.50 U(p=0.90)で有意差を認めなかった.多変量解析による予後不良因子は,体温(カットオフ値 35.7℃,OR 19.2,95%CI 1.76-209 ,P=0.02),RCC-LR輸血量(カットオフ値14U,OR 25.5,95%CI 2.63-247 ,P=0.01)であった.
【結語】腹部外傷手術の予後不良因子は低体温,大量輸血であった.緊急開腹手術を施行する症例では,来院時から体温上昇に努めることが重要と考えられた.
詳細検索