演題

潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡手術の変遷と展望

[演者] 水島 恒和:1,2
[著者] 松田 宙:2, 畑 泰司:2, 西村 潤一:2, 原口 直紹:2, 高橋 秀和:2, 中島 清一:3, 山本 浩文:2, 土岐 祐一郎:3, 森 正樹:2
1:大阪大学大学院 炎症性腸疾患治療学寄附講座, 2:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ, 3:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

【はじめに】瘍性大腸炎(UC)に対する手術術式は確立されており,大腸全摘+回腸嚢肛門(管)吻合が標準術式である.現在,小開腹手術,Hand-Assisted Laparoscopic Surgery(HALS),腹腔鏡手術などが,1期手術あるいは2期,3期分割手術として,患者の状態やそれぞれの施設の対応状況に応じて選択されている.手術適応,患者の術前状態,施設の方針が多様であるため,至適アプローチの確立は困難である.当科ではこれまで積極的に腹腔鏡手術を導入し,適応を拡大してきた.これまでの治療法の変遷に基づく現状につき検討し,今後の展望について考察する.【対象と方法】タクロリムスが保険適応となった2009年7月以降に当科で初回から外科治療を行ったUC40例中,癌合併のため分割手術計画を完遂できなかった3例を除く37例を対象とした.当科における基本術式は,ショックや穿孔例以外はHALSとしてきたが,2013年より癌/Dysplasia例に,2016年より難治例に腹腔鏡手術を導入した.術式は重症例/劇症例には3期分割手術を,難治例には2期分割手術あるいは1期手術を,癌/Dysplasia例には2期分割手術を基本とし,施設の対応状況に応じて決定した.初回手術および外科治療全体に伴う入院期間,合併症につき検討した.【結果】対象症例は男性21例,女性16例,年齢は中央値47歳(16-77歳)であった.罹患範囲は全大腸炎型32例,左側大腸炎型4例,右側あるいは区域性大腸炎1例,病型は急性劇症型3例,再年寛解型9例,慢性持続型25例であった.術式は開腹1例,HALS18例,腹腔鏡18例(開腹移行1例),1期手術2例,2期分割手術28例,3期分割手術3例であった.手術時間,出血量はHALS227分,226ml,腹腔鏡手術445分,236mlであり,HLASの手術時間が有意に短かった.初回手術/外科治療全体の平均術後入院期間は1期手術21日,2期分割手術25日/45日,3期分割手術21日/68日であり,外科治療全体の入院期間は1期手術で有意に短く,3期分割手術で有意に長かった.初回手術/外科治療全体の合併症は1期手術0例,2期分割手術6例/10例,3期分割手術2例/6例であった.手術関連死亡,縫合不全は認めなかった.【まとめ】UCに対するHALS,腹腔鏡手術は手術適応,患者の術前状態に応じて,概ね安全に実施可能であった.アプローチの選択に関しては,手術時間や入院期間の差も念頭に術後のQOLなどにも配慮したさらなる検討が必要であると考えられる.
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