演題

RS1-34-14-1

当科における特発性食道破裂(Boerhaave syndrome)に対する胸腔鏡下手術成績の検討

[演者] 岡本 宏史:1,2
[著者] 中野 徹:1, 谷山 裕亮:1, 櫻井 直:1, 瓶子 隆弘:1, 武山 大輔:1, 佐藤 千晃:1, 丸山 祥太:1, 小関 健:1, 亀井 尚:1
1:東北大学大学院 先進外科学, 2:仙台市立病院 外科

【背景】特発性食道破裂は初期診断の正診率が30%とされ,胸腔内・縦隔内の高度汚染により重症呼吸不全に陥りやすく,死亡率は20-40%とされる.
【方法】当科では2002年~2016年に本疾患に対し胸腔鏡を用いた手術を15例経験し,これを後方視的に検討した.
【結果】男性14例,女性1例,年齢中央値は61歳(42-74).全例で下部食道左壁が穿孔しており,手術は胸腔鏡下穿孔部縫合・洗浄ドレナージが9例,開腹穿孔部縫合・胸腔鏡下洗浄ドレナージが5例,胸腔鏡下食道切除(後日再建)・洗浄ドレナージが1例で,中央値では発症から手術までの時間が8時間(5-48),手術時間218分(112-323),出血量160ml(5-1320)であった.術後経過は中央値で人工呼吸器管理1日(0-26),ICU管理4日(1-39),経口摂取までに13日(5-163),退院までに22日(10-224)を要し,術後合併症は重複を含めて,肺炎が4例(27%),膿胸(遺残膿瘍)が6例(40%),縫合不全が1例(6.7%)であった.1例は肺炎により再挿管,1例は肺炎とARDSにより長期人工呼吸器管理を要した.また,2期再建を施行した1例は最初の術後7カ月で他病死した.
【考察】周術期死亡はなく,長期生存率は93.3%と従来の報告に比べて良好であった.発症後から手術まで時間を要すると膿胸などの合併症率が高く,治療に時間を要する傾向にあると考えられ,早期診断・早期治療が肝要であると思われた.術式については,穿孔部位の大きさ,発症からの時間,感染・壊死による組織の脆弱化,縦隔炎・胸腔内汚染の程度などから判断される.胸腔鏡下手術は分離肺換気が必要であり,症例により耐術能は異なるが,症例によっては発症から時間が経過していても胸腔鏡下手術で対処可能であった.【結論】特発性食道破裂は,近年の麻酔・周術期管理の進歩もあり,胸腔鏡を用いた手術により十分許容可能な成績が得られるものと考える.
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