演題

RS3-146-13-6

膵頭十二指腸切除術における周術期管理

[演者] 前田 徹也:1
[著者] 土屋 勝:1, 石井 淳:1, 岡田 嶺:1, 澤口 悠子:1, 松本 悠:1, 久保田 喜久:1, 片桐 敏雄:1, 大塚 由一郎:1, 金子 弘真:1
1:東邦大学医療センター大森病院 消化器センター(外科)

【目的】膵頭十二指腸切除術(PD)における周術期管理では,膵瘻への対応が特に重要であり,慎重な手術手技に加え腹腔ドレーンや抗菌薬などを用いた適切な周術期管理が必要である.当教室で行ったPDに対する周術期管理について,後方視的な検討を加えた.
【対象】当教室において2007年以降に施行したPD163例を対象とした.
【方法】ISGPF診断基準GradeB以上を膵瘻と定義し,その有無により2群に分類(陰性群/陽性群=101/62例),周術期項目について比較検討を行った.疾患は(膵癌/胆管癌/乳頭部癌/IPMN/PNET/その他=50/32/43/13/4/21)例で,術式は(PD/PPPD/SSPPD=18/132/13)例,消化管再建は(2型/3a型=120/43)例,膵空腸吻合は(柿田式/嵌入法=146/17)例,膵実質切離は主に超音波凝固切開装置を主に用い,膵管チューブは不完全外瘻とした.2015年以降は,肝円索を用いた胃十二指腸動脈断端の被覆を行った.予防抗菌薬は,術前胆道ドレナージ症例ではMeropenemを用い,胆道ドレナージ未施行であればCefmetazoleを使用し,術開始直前から第1病日(POD1)まで投与した.腹腔ドレーンはBlakeドレーンを胆管空腸吻合背側,膵空腸吻合腹側背側にそれぞれ留置し,肉眼的感染兆候を認めず,ドレーンアミラーゼから膵瘻所見がなければ,POD4を目標に抜去とした.経口摂取はPOD3から開始した.
【結果】単変量解析では,男性(膵瘻陰性群/陽性群=58/46)例,BMI(21.6/22.8),血清TG値(113/133) mg/dl,正常膵(45/51)例,主膵管径(5.0/3.6)mmに統計学的有意差を認め,術後因子では術後CRP値,WBC値,ドレーンアミラーゼ値(DAMY)で膵瘻陽性群が有意に高値を示した.さらに切開創SSI(24/27)例,呼吸器合併症発症(4/12)例と膵瘻陽性群の発症例を有意に多く認めた.多変量解析では,血清TG値85mg/dl以上,CRP(POD3)値14.7μL以上,DAMY(POD1/3)値2993/880IU/L以上が膵瘻に関する独立した危険因子であった.
【まとめ】上記膵瘻危険因子が周術期管理での有効な指標となる可能性が示唆された.しかし膵瘻発症率はいまだ高く,今後も継続した手術手技や周術期管理の改良が必要と思われた.
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