演題

潰瘍性大腸炎手術における時代的変遷

[演者] 畑 啓介:1
[著者] 安西 紘幸:1, 石原 聡一郎:1, 野澤 宏彰:1, 川合 一茂:1, 清松 知充:1, 田中 敏明:1, 品川 貴秀:1, 渡邉 聡明:1
1:東京大学大学院 腫瘍外科学

【目的】近年の腹腔鏡手術の普及に伴い,潰瘍性大腸炎に対する手術にも腹腔鏡が導入されるようになった.また,内科治療の進歩に伴い手術を回避できる症例が出てきた一方で,長期経過例においては大腸癌の合併症例の増加が危惧されている.そこで当科における潰瘍性大腸炎手術の時代的な変遷を明らかにすることを目的とした.【方法】1989年より2016年までに当科にて手術を行った潰瘍性大腸炎症例143例を対象として前期(1989-1999年),中期(2000-2009年),後期(2010-2016年)に分けて手術適応,手術方法,Surgical Site Infection (SSI)の発生率の時代的変遷に関して考察を行った.当科では2003年から症例を選択してHALSおよび腹腔鏡補助下大腸全摘を行い,2012年より5ポートによる腹腔鏡補助下大腸手術を本格的に導入した.さらにSSIの発生率に関しては腹腔鏡症例と開腹症例間の比較も行った. 【成績】潰瘍性大腸炎手術に占める癌またはDysplasiaに対する手術率は前期は29%,中期は27%であったが,後期は62%と高率であった.1期目の手術に占める腹腔鏡手術率は前期は0%,中期は21%であったが,後期は84%と増加した.特に本格的な腹腔鏡手術の導入以降の2012年-2016年では潰瘍性大腸炎に対する1期目手術における腹腔鏡手術率は94%(33症例中31症例)であり,開腹手術の2例の手術適応は中毒性巨大結腸症であった.腹腔鏡から開腹へのConversion症例はなかった.SSIの発生率は前期は29%,中期は14%であったが,後期では8%と低下した.また,SSIの発生率は開腹例は24%であったのに対し腹腔鏡症例では5%であり有意に腹腔鏡症例で少なかった(Fisher's exact test p<0.01).【結論】時代の変遷と共に潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡手術の導入が安全に行われ,SSIの発生率が時代と共に低下した.
詳細検索