演題

RS3-145-13-2

膵頭十二指腸切除後の晩期腹腔内出血を考える

[演者] 赤星 慎一:1
[著者] 生田 義明:1, 遊佐 俊彦:1, 武山 秀晶:1, 小川 克大:1, 岡部 弘尚:1, 林 洋光:1, 尾崎 宣之:1, 緒方 健一:1, 高森 啓史:1
1:済生会熊本病院 外科センター

【背景】膵頭十二指腸切除術(以下PD)後の重篤な合併症の一つとして腹腔内出血がある.PD術後腹腔内出血の頻度は2-8%と報告され,膵液漏を合併した場合,その頻度は増加し結果として高い致死率を来すため,厳重な経過観察が必要である.腹腔内出血に対する処置はInterventional radiolody(I VR)が一般的であるが,手術と対比しどちらが有効であるか定かではない.膵頭十二指腸切除後の晩期腹腔内出血に対する当科における現況を考察した.【方法と結果】2012年4月より2016年3月までの当科において膵頭部領域腫瘍に施行したPDおよび膵頭十二指腸第二部切除術108例を対象とした.膵の再建は膵胃吻合を行い,胃十二指腸動脈断端はクリップを付加し肝円索で被覆を行っている.術後24時間経過後の腹腔内出血を晩期腹腔内出血と定義した.Grade BおよびCの膵液漏は31例(28.7%)に認めた.晩期腹腔内出血は7例(6.5%)に認め,その時期の中央値は術後25日目(術後11-57日目)であった.術後11日目に起こった1例は突然のショックで発症し,コイル塞栓中心肺停止となり腹腔内出血による出血性ショックで死亡した.疾患は乳頭部癌3例,胆管癌3例,乳頭部GIST1例であり,背景膵は全例soft pancreasであった.5例に術前内視鏡的減黄処置が施行されていた.全例に膵液漏および腹腔内膿瘍を合併し,sentinel bleedingは3例に認めた.全例に血管造影が施行され,仮性動脈瘤は6例に認め,部位は胃十二指腸動脈断端に形成したものが3例,総肝動脈が2例,左肝動脈が1例であった.コイル塞栓がうち5例に施行され,止血効果は良好で再出血は認めず,コイル塞栓後肝不全や肝梗塞および肝膿瘍は認めなかった.再手術は2例に膿瘍ドレナージが施行されたが,止血目的の手術例はなかった.死亡例と生存例の差を発症時SIRSの有無および発症時期で検討したが,有意差はなかった.【考察】PD術後の晩期腹腔内出血に対しては膵液漏,腹腔内膿瘍の合併がある場合,特に厳重な観察が必要である.IVRによる止血は第一選択と考えられ,血管造影所見と術中所見を放射線科医と情報共有し,加療することが重要である.しかしながら止血が得られても膿瘍ドレナージが有効でない場合,躊躇なく再手術に踏み切ることが肝要である.
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