演題

RS3-144-13-4

75歳以上高齢者に対する膵切除術の術後合併症と関与するリスク因子の検討

[演者] 久保 維彦:1
[著者] 山田 大作:1, 江口 英利:1, 岩上 佳史:1, 野田 剛広:1, 浅岡 忠史:1, 和田 浩志:1, 後藤 邦仁:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

目的:社会の高齢化に伴い,高齢者に対し侵襲度の高い膵切除術を施行する機会が増えてきている.高齢者は身体的・社会的耐術能を十分に考慮した上で手術適応を決定するため,後方視的検討では安全に手術を施行できたとする報告が多いが,一度合併症が起こると致命的となり得る.そのため,術後合併症のリスク因子を検討し,より安全な管理の確立が求められている.当院では75歳以上の全手術患者で術前に身体機能・認知機能評価などで低・高リスクに分類する高齢者包括的機能評価 (CGA) を行っている.炎症・栄養指標の算出も全例で行っており,これらの因子を含めて,高齢者膵切除術の術後合併症に関連するリスク因子の検討を行った.方法:当院で2010年11月から2015年10月の5年間に膵切除術を施行した75歳以上の高齢者56例を対象とした.術後合併症についてはClavian-Dindo分類を用いて,Grade0, 1を合併症なし,Grade2以上を合併症ありとした.これら2群に関し,術前患者因子として好中球 /リンパ球比 (NLR) ,血小板 /リンパ球比 (PLR),modified Glasgow Prognostic Score (mGPS) ,Prognostic Nutrition Index (PNI) ,CGAなどの関連を,また手術因子として術式,出血量,手術時間などの関連を後方視的に検討した.結果:合併症あり群は24例 (42.9%) であった.年齢の中央値は79 歳,性別は男性33例であった.ASA-PSは殆どが2であり,3の症例も8例含まれていた. mGPSは2点が 9例,CGAは高リスク 28例であった.術式は膵頭十二指腸切除術31例/膵体尾部切除術24例で,出血量の中央値は580 ml,手術時間の中央値は415分であった.単変量解析後,傾向のある因子で多変量解析を行った結果,年齢79歳以下,出血量300ml以上,mGPS 2点が術後合併症発生の独立リスク因子であった. CGAの高リスクは合併症発生と有意な関係を認めなかった.考察・結語:高齢患者に対する膵切除術後合併症について当科でのリスク因子の検討を行った.75歳以上の高齢者の膵切除症例において,より高齢であること,術前CGA高リスクは合併症発症の有意なリスク因子ではなく,手術適応時に症例が選択されている可能性が考えられた.現状の適応患者においては術前の栄養状態及び炎症反応改善,術中の出血量を抑えることでGrade2以上の術後合併症の発生を抑制できる可能性が示唆された.
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