演題

潰瘍性大腸炎手術症例の変遷と予後予測因子

[演者] 内野 基:1
[著者] 池内 浩基:1, 坂東 俊宏:1, 平田 晃弘:1, 蝶野 晃弘:1, 佐々木 寛文:1, 後藤 佳子:1, 堀尾 勇規:1, 竹末 芳生:2
1:兵庫医科大学病院 炎症性腸疾患学講座, 2:兵庫医科大学病院 感染制御学

近年,潰瘍性大腸炎(UC)治療の進歩はあるが手術症例は減少しておらず,重症緊急手術症例も少なくない.また患者層は高齢化傾向にある.UC手術症例の変遷と,予後予測因子について検討する.【方法】1974年から2015年12月までに手術を行ったUC1695例を対象に患者背景を年代別に比較検討した.ステロイド中心の1999年以前を前期群(n=333),血球成分除去出現の2000年から2008年を中期群(n=766),免疫調節剤,生物学的製剤が頻用されるようになった2009年以降を後期群(n=596)として検討した.更に2000年1月から2015年12月までの1151例を対象に小野寺のprognostic nutritional index(O-PNI:アルブミン値×10+リンパ球数×0.005)を含む術前因子と周術期死亡,合併症の関連を検討した.合併症は腸閉塞,手術部位感染,遠隔感染を含む全合併症と骨盤操作に伴う骨盤内あるいはpouch関連合併症(PRC)に分けて検討した.【結果】手術時年齢中央値が前期33歳,中期36歳,後期44歳と有意に高齢化していた.60歳以上の手術症例は2000年に3.8%であったが2015年には26.3%に増加していた.術前治療では前期のステロイド総投与14000mg,術前投与量25mgが後期にはそれぞれ7300mg,14mgへ減少し,免疫抑制剤使用は前期には10%であったが後期で49%と増加していた.生物学的製剤は後期15.7%の使用率であった.重症,劇症で緊急手術を要した症例は前期27.3%,中期19.2%,後期23.2%と変化は見られなかったがcancer/dysplasia症例は前期3%から後期20%へ有意に増加していた.2000年以降の検討では死亡症8例,合併症320例,PRC118/960例であった.それぞれ有害事象例でO-PNIは有意に低値を示していた.リスク因子の検討では60歳以上(OR1.5),CRP5.8以上(OR1.8),術前投与ステロイド30mg/day以上(OR2)が周術期合併症の,60歳以上(OR1.1),麻酔リスク3以上(OR2.5),緊急手術(OR3),PNI32以下(OR2)がPRCの,60歳以上(OR26.9),CRP5.8以上(OR18.6),PNI32以下(OR6,6)が死亡の有意なリスクであった.60歳以上,緊急手術で死亡症例を検討したところ,Alb2.2以下,リンパ球8%以下で死亡症例7/8が含まれ,感度87.6%,特異度85.7%であった.【結語】UC治療の進歩はあるものの緊急手術は減少しておらず,高齢者は増加している.高齢や術前のO-PNIの低い症例では死亡,PRCのリスクが高くなるため,早期に手術を選択し,侵襲の少ない分割手術を選択すべきと考えられた.
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