演題

RS3-143-13-2

尾側膵切除術術後の膵液瘻についての検討

[演者] 大平 豪:1
[著者] 天野 良亮:1, 木村 健二郎:1, 山添 定明:1, 西尾 康平:1, 田中 浩明:1, 六車 一哉:1, 前田 清:1, 平川 弘聖:1, 大平 雅一:1
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学

【背景】尾側膵切除術術後の膵液瘻は頻度が高く,一度発生すると治療が長期化する合併症である.膵液瘻を防止する切離方法の検討は多数なされているが,いまだ有効な方法はない.当科での尾側膵切除術の治療成績と膵液瘻について解析し,膵液瘻対策について検討を行った.
【対象と方法】2006年1月から2016年12月までに尾側膵切除術を行った175例をretrospectiveに解析を行った.年齢,性別,DMの有無,癌,膵の硬さ,膵切離部厚,術後3日目のWBC値,CRP値,ドレーンAMY値,補強シートの有無,Alb値,BMI,手術時間,出血量,輸血の有無について検討を行った.膵液瘻はISGPFの定義を用いて判定した.
【結果】男女比は83:92,平均年齢は64.4歳(19-88歳)であった.疾患は膵癌:74例,IPMN:32例,NET:11例,その他:59例であった.膵の切離方法は,自動縫合器切離法(stapler 群:S群)が128例,メスで切離し主膵管を結紮する方法(Non-Stapler 群:N群)が47例であった.全症例の膵液瘻Grade B/Cは44.0%,切離法別ではS群39.8%,N群55.3%であった(p=0.0858).S群128例での膵液漏リスク因子の単変量解析では膵切離部厚11.02mm以上,術後3日目のドレーンAMY値1020U/L以上・CRP値10.42mg/dl以上・WBC13100/μl以上,手術時間204分以上,出血量780ml以上及び輸血ありが膵液瘻発生のリスク因子であり(それぞれの数値はROC曲線より算出),多変量解析にて,膵切離部厚11.02mm以上(オッズ比2.766,p=0.0306)と3日目のドレーンAMY値1020U/L以上(オッズ比7.826,p<0.0001)が独立したリスク因子であった.
膵液瘻なし,GradeA,B,Cはそれぞれ55例(43%),22例(17.2%),46例(35.9%),5例(3.9%)であり,それぞれの在院日数中央値は15日,12日,30日,46日とGradeB/Cが長期となった.GradeCで,血管塞栓術を要した症例が4例,膿瘍形成が改善せず再手術を要した症例が1例であった.GradeB/Cで再入院を要した症例が2例,再穿刺を要した症例が3例であった.
【結語】尾側膵切除術において切離法の違いによる膵液瘻発生に有意差は認められず,膵切離部厚や術後3日目のドレーンAMY値がリスク因子であった.膵液瘻が発生してもGradeCへの移行を防止する膵液瘻管理を行うことが重要である.
詳細検索