演題

RS3-142-13-4

膵体尾部切除術後早期膵周囲液貯留の臨床的意義

[演者] 内田 雄一郎:1
[著者] 増井 俊彦:1, 仲野 健三:1, 佐藤 朝日:1, 高折 恭一:1, 上本 伸二:1
1:京都大学附属病院 肝胆膵・移植外科

<背景>
膵体尾部切除術後早期の画像検査では,膵周囲に液貯留が認められることがある.この所見は膵液漏との関連が疑われるが,その臨床的意義は明らかでない.膵切除術後の膵液漏を含む合併症を低減させ,より良いマネジメントを行うためにはその病態の理解が必須である.
<目的>
膵体尾部切除術後早期の画像検査における膵周囲液体貯留所見の臨床的意義を明らかにする.
<方法>
2010年1月から2015年12月までに京都大学医学部付属病院で行われた膵体尾部切除術症例96例を後方視的に検討した.当科では膵体尾部切除術後1週間前後でのCT撮像をルーチンに行っており,術後5-10日に行われたCT検査を術後早期画像検査と定義した.膵周囲液体貯留はCTにおける膵断端に近接した液体濃度とし,貯留量を矢状断,冠状断面における径を用いて計算した.膵周囲液体貯留が確認された症例ではその後の経過およびCTを消失が確認されるまで追跡した.
<結果>
膵体尾部切除症例96例のうち,85例(88.5%)で術後5-10日目にCT検査が行われていた.この85例のうち,77例(90.6%)に膵周囲液体貯留所見を認めた.膵周囲液体貯留量が多い群では,少ない群と比較して有意に International study group of pancreatic fistula(ISGPF) GradeB/GradeC膵液漏およびDelayed Gastric Emptying(DGE)の発生率が高かった.(p<0.001, p=0.03)が,液体貯留量が少量の群でもGradeB膵液漏の発生は13.9%に観察された.膵切離部膵臓厚高値は術後膵周囲液貯留量増大の危険因子であった.ドレーン留置の継続,ドレーン本数の増加は膵周囲液貯留減少に寄与していなかった.(p=0.27,p=0.72)術後早期膵周囲液貯留は,術後2-6か月でのフォローアップCTで92.3%の症例で縮小し,55.8%で消失した.
<結論>
膵周囲液体貯留は膵体尾部切除術後早期にほぼ必発といってよいが,半年後には半数が消失することが示された.さらに,貯留量が多い症例ではGradeB/C膵液漏およびDGEの発生頻度が高いことが明らかになった.しかしながら膵液貯留が少なくてもgradeB膵液瘻が発生したことから,膵体尾部切除術後の膵液漏を低減させるためには,膵断端からの膵液漏出を防ぐことに加えて,漏出した膵液を重症化につなげないアプローチが必要であることが示唆される.
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