演題

RS3-142-13-2

膵疾患術後の晩期合併症対策としての脂肪消化吸収・糖代謝機能の定量化と臨床応用

[演者] 森藤 雅彦:1,2,3
[著者] 中村 浩之:2, 中川 直哉:2, 村上 義昭:2, 山本 祐二:1, 斎藤 保:1
1:つくばセントラル病院, 2:広島大学医学部 外科学, 3:広島市立舟入病院 外科

【目的】
膵疾患術後患者の晩期合併症としての消化吸収機能障害は稀ではなく,我々外科医が人為的にもたらした不可避な変化と考えられる.術後の脂肪消化吸収機能および糖代謝機能の変化を定量的に検討して合併症対策としての有用性を検討した.
【対象】
幽門輪温存膵頭十二指腸切除(PPPD)52例,膵体尾部切除(DP)40例.
【方法】
脂肪消化吸収機能は13C標識混合中性脂肪呼気試験(13C-MTG)の7時間累積回収率,糖代謝機能変化は術前後のHbA1c,栄養状態はBMI(Body Mass Index)を検討した.また,PPPD症例では切離断端組織の線維化部位や脂肪変性部,脈管などを除外した残存膵実質面積率を測定して脂肪消化吸収機能変化を予測.DP症例では切離断端のislet cellの占める面積比を算出して糖代謝機能変化予測が可能か試みた.
【結果】
PPPD症例:13C-MTG 累積回収率は6.8±4.8%と健常者15.5±6.0%に対し有意に低下(p<0.01).累積回収率5.0%以下の消化吸収機能低下例は,切離断端部残存膵実質面積率67.8±8.5%と累積回収率5.0%以上の症例の81.7±5.4%に比較して有意に低値で(p0.01),術後BMI変化も大きい傾向であった(p<0.01).術前non-DM群(HbA1c 6.9%以下かつ治療なし症例)46/52例(88%)で検討すると,術後1年目でのnon-DM群(36/46 : 79%)は累積回収率10.45±5.2%,DM群で5.90 ± 4.3%(10/46 : 21%)とnon-DM群で有意に高値(p<0.01).
DP症例:13C-MTG累積回収率は10.0±6.5%と健常者15.5 ± 5.0%に比べ低下認めるが有意差は認めず.術前non-DM群は26/40例(65%)で検討すると,14/26例(53.8%)が術後1年時でDM発症せず,12/26例(46.2%)がDM発症.DP症例全体では術後HbA1cは術後HbA1cよりも有意に高値で(p<0.01),術前HbA1cと術後HbA1cに有意な正相関を認めた(p<0.01,Y=-1.259+1.315×X; R2=0.52).また,DM症群は切離断端islet cell面積比が有意に低い傾向にあった.(p=0.01, DM群1.5±0.7, non-DM群3.5±1.5)
【結論】
膵手術後の消化吸収機能障害は術式により大まかな傾向がみられた.13C-MTGやHbA1c,さらには切離断端組織評価を利用した機能変化予測も消化吸収機能の個別定量評価に有用で,治療薬の選択や容量設定にも有益と考えた.
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