演題

Kono-S吻合による腸管クローン病の外科的再狭窄予防の可能性

[演者] 河野 透:1,5
[著者] 前田 耕太郎:2, 坂井 義治:3, 大毛 宏喜:4, 島田 光生:5, 勝野 秀稔:2, 東島 潤:5, 倉地 清隆:6, 藤谷 幹浩:7, 前本 篤男:1
1:札幌東徳洲会病院, 2:藤田保健衛生大学病院 外科, 3:京都大学大学院 消化管外科学, 4:広島大学附属病院 感染症科, 5:徳島大学医学部 消化器・移植外科学, 6:浜松医科大学医学部 外科学第二, 7:旭川医科大学医学部 内科学講座 消化器•血液腫瘍制御内科学分野

外科的手技の進歩も器械吻合による機能的端端吻合など登場してきたが,クローン病腸管切除後の吻合部外科的再発の頻度は依然として高く,腸管切除後吻合部の自然史は改善されていない.2003年9月に河野らによってクローン病腸管切除後の外科的再発予防に特化した手縫い吻合による機能的端端吻合(Kono-S吻合)が考案された.その後,国内だけでなく,2010年5月以降,米国のシカゴ大学,ワシントン大学,コーネル大学などでも行われ,15年間にわたり主要専門施設だけで700例以上行われてきた.平均観察期間が7年を過ぎた長期成績でも外科的再発がほとんど起きていないという画期的な成績がもたらされている.現在,コーネル大学を中心とした多施設前向き試験が米国で行われている.2011年と2015年にKono-S吻合国際コンセンサス会議が日本で開催され,そのKono-S吻合手技に関してコンセンサスが得られた内容を簡潔に述べると,①病変腸管の腸間膜切離の工夫:病変腸管近傍を切離し神経や血管の末梢側を切断し,残存神経の再生力低下を予防し,血流維持にも貢献する.②自動縫合器を用いた病変腸管切除の工夫:腸管膜と直交させ腸管膜付着部が切断閉鎖部の中央に位置するように3列の自動縫合器を使用して腸管切断閉鎖,両断端を強固に縫着することで吻合部後壁(再発好発部位)のバックボーンとなる構造物(サポーティングカラム)が完成.③手縫いによる大きな端端様の吻合口作成:腸間膜対側腸管壁の長軸方向にサポーティングカラムから0.5cm以上,1cm以下に離して腸管膜対側腸管壁を電気メスで切開する0.5cm以内だと吻合が難しくなり,血流不全の問題が懸念される.1cm以上離すとサポーティングカラムのバックボーン効果が減弱する.切開腸管をハイネッケンミクリッツ様に腸管軸と直交するように開き,実測で7cmから8cm程度開くまで切開を繰り返す.目標値は小腸の場合は7cm,大腸の場合は8cmである.Kono-S法の適応限界としては,吻合腸管長10cm以上必要であり,回腸末端に近い回腸狭窄病変で回盲部を温存する症例や直腸狭窄病変症例には配慮が必要である.自動縫合器の使用が必須のため,医療経済上不利である.Kono-S吻合は腸管クローン病の吻合部外科的再発予防が期待できる可能性がある.
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