演題

RS3-140-13-6

脾臓摘出術後の門脈血栓予防に対するEnoxaparineの有用性の検討

[演者] 橋本 直隆:1
[著者] 池田 泰治:1, 河野 麻優子:1, 野副 忠浩:1, 大賀 丈史:1, 隈 宗晴:1, 山懸 基維:2, 江崎 卓弘:1
1:福岡東医療センター 外科, 2:済生会唐津病院 外科

【背景・目的】肝硬変症に合併した門脈血栓症(PVT)の治療において,Enoxaparineの有用性が報告されている.脾臓摘出が可能とする肝機能の改善や,門脈圧亢進症に伴う問題を解決する治療の過程において,脾臓摘出後の門脈血栓症の予防や治療は重要な治療戦略と考える.今回,我々は脾臓摘出後の門脈血栓症予防におけるEnoxaparineの有用性の検討を行った.
【対象・方法】2013年6月から2016年12月の間で,脾臓摘出術を施行した13例を対象とした.2014年4月以降の症例においては,術後Enoxaparine投与を行った.Enoxaparineの投与開始は術後3日目より開始し,4000単位/日の投与を行った.
Enoxaparineを投与した症例は10例であり,このうち6例が門脈圧亢進症を背景とする患者(PH群)であった.術後7日目の造影CTで門脈血栓症(PVT群)を評価した.脾静脈合流部の遠位側の脾静脈血栓のみはnon-PVT群とした.
【結果】全症例において,有害事象を認めずEnoxaparine投与が可能であった.門脈圧亢進症を背景にしない症例(悪性リンパ腫;2例,ITP;2例,脾動脈瘤;1例)においては門脈血栓の発症はみられなかった.PH群において,Enoxaparine未使用の症例では2/2例(100%)でPVTを認めた.Enoxaparine投与例では2/8(25%)でPVTを認めた.脾静脈径>9mmの症例や,AT-Ⅲ低値の症例は脾臓摘出後の門脈血栓症の高リスク群と考えられているが,Enoxaparine投与を行った症例において,PVT群・non-PVT群の脾静脈径は13.7±0.8mm vs 11.8±1.8mmであり,AT-Ⅲ値は56.5±19.1% vs 72.4±22.9%と両群の間で有意差を認めないもののAT-Ⅲ値が低い症例は門脈血栓を発症しやすい傾向があった.
【結語】Enoxaparineは,門脈圧亢進症を背景とする患者の脾臓摘出術後に安全に使用可能であった.Enoxaparineは,高リスク症例においても門脈血栓症の発症を低下させるため,術後門脈血栓の予防に関して有用な可能性が考えられた.
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