演題

RS3-140-13-5

特発性門脈圧亢進症に対し脾臓摘出術を施行した11症例の長期成績

[演者] 長尾 吉泰:1,2
[著者] 赤星 朋比古:1,2, 播本 憲史:1, 伊藤 心二:1, 池上 徹:1, 副島 雄二:1, 吉住 朋晴:1, 池田 哲夫:1,2, 橋爪 誠:2, 前原 喜彦:1
1:九州大学病院 第2外科, 2:九州大学病院 先端医工学診療部

[はじめに]特発性門脈圧亢進症(IPH)は,肝機能障害が比較的軽度であり,門脈圧亢進症に伴う出血がコントロールできれば,その予後は良好とされている. 今回,当科にてIPH症例に対し脾臓摘出術を施行した11症例の長期予後について検討したので報告する. [対象と方法]1994年から2011年までに,当科にてIPHと診断し,脾臓摘出術を施行した11例につき,その合併症および長期予後について検討した.症例の内訳は,性別(男/女,6/5例),年齢(平均45.7歳),Child分類(A/B/C,6/4/1例),であった.手術適応は血小板減少症(Plt;3.8万/μl)に伴う易出血性および(消化管出血/肝機能障害および腹水/食道胃静脈瘤/脾動脈瘤;3/3/4/1例)であった.術式の内訳は腹腔鏡下脾臓摘出術7例および腹腔鏡下Hassab手術4例であり,全体の観察期間の中央値は9.4年(5.3-19.1)であった.[結果]術後,肝静脈喫入圧較差は術前に比し有意に減少した(術前:422±115 mmH2O,術後:250±135mmH2O).11例全例で血小板数の増加を認め(3.8/22.0/18.3/21.8×104/μl(術前/術後1年/3年/5年)),術前の主症状は改善した.全例において肝機能の改善を認め,その効果は観察期間に渡り持続していた(Alb;3.7/4.1/4.3/4.2 g/dL,T-bil;1.9/1.2/1.0/1.3 mg/dL(術前/術後1年/3年/5年)).術後合併症に関しては,門脈血栓を5例(45%),GradeAの膵液漏を1例(9%)に認めたが,門脈血栓は早期発見・治療により3例は消失した.観察期間中,門脈血栓症が消失しなかった2例(18%)では食道静脈瘤の悪化を認めたが,内視鏡治療で対応可能であった.門脈血栓を認めなかった,もしくは保存的加療にて消失した9例(82%)では観察期間中,門脈圧亢進症の増悪を認めず,入院を要した症例は無かった. [結語]脾臓摘出術はIPH症例における門脈圧の制御において有効な治療法であり,その効果は長期的にも認められた.しかしながら,IPHに対する脾臓摘出後の門脈血栓症の発生率は高く,術後門脈血栓症に対する予防治療,および厳重な経過観察が重要と考えられた.
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