演題

RS3-110-6-4

肝切除後胆汁腫形成過程の検討

[演者] 杉本 博行:1
[著者] 高野 奈緒:1, 高見 秀樹:1, 林 正路:1, 山田 豪:1, 中山 吾郎:1, 小池 聖彦:1, 藤原 道隆:1, 藤井 努:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【目的】
肝切除後胆汁漏は比較的頻度の多い合併症であり,長期のドレーン管理を必要とする場合がある.インフォーメーションドレーン挿入が胆汁漏の早期発見につながり,治癒までの期間を短縮するという報告があるが,一方では肝切除後の予防的ドレーン挿入は必要ないとも報告されている.ドレーン留置症例における胆汁漏の診断は,排液の性状観察により可能ではあるが,非留置例では診断に難渋することもあり穿刺時期や治療法につき迷うことも多く,ドレーン非留置に踏み切れない一因となっている.今回,ドレーン非留置症例における肝切除後胆汁腫形成過程および治療法との関連につき検討した.
【方法】
2013年5月―2015年12月の予防的ドレーン非留置の肝切除症例76例を対象とした.術後1,4,7日目に超音波検査法(以下US)にて肝離断面貯留液の有無や形態,および経時的変化を評価した.治療が必要であった胆汁漏症例と必要でなかった症例の画像所見の相違につき検討した.また術後1年以降のCT画像で肝離断面貯留液の有無,形態を評価し胆汁腫の有無につき検討し周術期US画像との関連につき検討した.
【成績】
USにおける腹腔内貯留液の性状として,内部点状高エコー43例56.6%,隔壁形成39例51.3%,浮遊物21例27.6%,貯留液増大傾向20例26.3%,膨張性液体貯留18例23.7%が認められた.また穿刺ドレナージを必要とした胆汁漏を10例13.2%に認めた.上記US所見5項目の有無と治療を要した胆汁漏の有無との関連では,貯留液増大傾向が治療を要した胆汁漏症例において有意に多く認められた(p=0.017).また1年後のCT画像において胆汁腫を認めた症例および治療を要した症例を合わせて総合的胆汁漏とすると,総合的胆汁漏症例は31例40.8%に認めた.同様にUS所見との関連を検討すると点状高エコー,貯留液増大傾向,膨張性液体貯留を認めた症例において有意に多く認められた(p<0.001, p<0.001, p=0.003).
【結論】
周術期US評価により胆汁漏症例を拾い上げることは可能であった.しかし,治療対象症例を確定することは画像単独では困難であり臨床症状との対比が必要である.
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