演題

RS1-49-18-1

胃原発GISTの術前画像診断について

[演者] 鴇沢 一徳:1
[著者] 竹内 裕也:1, 庄司 佳晃:1, 福田 和正:1, 中村 理恵子:1, 須田 康一:1, 和田 則仁:1, 川久保 博文:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

【背景】胃粘膜下腫瘍の鑑別において,CT検査や超音波内視鏡における腫瘍内の壊死・出血,実質の不均一性がGISTを示唆する所見とされているが,読影者や検者によりしばしば評価が分かれる.現行のガイドラインでは超音波内視鏡下穿刺吸引生検による組織診断を行った方が望ましいとされているが,出血傾向を有する患者や抗血栓療法中の患者など,超音波内視鏡下穿刺吸引生検を行いにくい患者群も存在する.画像診断の精度を向上させれば,侵襲を伴う組織診断を省略できる可能性がある.
【方法】当教室における2004年1月から2016年11月までの胃粘膜下腫瘍切除例191例を対象に,GISTの術前画像診断に有用な指標を探索した.粘膜下腫瘍の発育形式は「管外型」「管内型ないし壁内・混合型」の2群に分類し,管外成分が優位であっても管内成分が混在する腫瘍は「混合型」に分類した.また,実質の不均一性を定量的に評価する指標として腫瘍のCT値を用いた.具体的には,体軸断面において腫瘍断面積が最大となるスライスで,腫瘍内部のCT値をピクセルごとに計測し,その標準偏差を求めた.これを,体重や撮像タイミングのずれによる誤差を調整するために下大静脈内のCT値で除し,CTsdと定義した.
【結果】胃粘膜下腫瘍切除例191例のうちGISTは132例(69.1%),平滑筋腫 27例(14.1%),神経鞘腫 13例(6.8%),異所性膵 5例(2.6%),その他14例(7.3%)であった. GISTは非GISTと比較して管外発育型が有意に多く(42.4% vs 17.2%, p = 0.001),delleを有するものが多い傾向があった(21.2% vs 10.2%, p = 0.069).また,GISTの方がCTsdが有意に大きく(中央値0.181 vs 0.143, p = 0.002),腫瘍内部の不均一性を反映しているものと考えられた.ROC曲線から求めた0.15をCTsdのカットオフ値とし,「CTsd≧0.15」かつ「管外発育型またはdelleを有する」ものを画像的GISTと定義すると,感度40.2%,特異度96.6%,正確判別確立57.6%であった.多変量解析では,画像的GISTは発育形式,delleの有無,CTsdとは独立した診断指標であった(OR 16.9, 95%CI: 2.63 - 109.1).
【結語】胃粘膜下腫瘍の画像診断では,造影CT検査におけるCT値を用いることにより,腫瘍内の不均一性を定量的に評価することができた.内部不均一な胃粘膜下腫瘍のうち,管外発育型あるいはdelleを有するものは高い特異度を持ってGISTと診断できるため,術前の組織診断を省略できる可能性がある.
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