演題

傍大動脈リンパ節転移を伴う進行胃癌に対する切除例の予後予測因子および再発形式の検討

[演者] 海藤 章郎:1
[著者] 木下 敬弘:1, 砂川 秀樹:1, 寺田 参省:1, 杉田 静紀:1, 渡邊 将広:1, 藤田 武郎:2, 大幸 宏幸:2
1:国立がん研究センター東病院胃外科, 2:国立がん研究センター東病院 食道外科

【背景】傍大動脈リンパ節(PAN)転移を伴う胃癌は予後不良であるが,術前化学療法(NAC)後切除の有用性が示された(Tsuburaya, Br J Surg, 2014).【目的】病理学的また画像上PAN陽性胃癌の予後予測因子および再発形式を検討する.【方法】検討① 術後因子:予防的あるいは治療的PAN郭清を伴う胃切除施行症例(1992年~2014年)のうち,病理学的PAN陽性症例の予後予測因子・再発形式の検討.検討② 術前因子:画像上PAN陽性胃癌に対してNAC施行後切除症例(2007年~2015年)の予後予測因子・再発形式の検討を単施設後方視的に行った.【結果】検討①:対象となった704例中,病理学的にPAN陽性であったR0切除例65例を解析した.PAN郭清度(a2/b1)は完全/不完全:32/33例で,全生存率(OS:3/5年)は33.8/21.2%であった.Cox回帰分析にてNo.8a,9,11LN転移例(HR:4.0, 95%CI:1.55-10.5), 腫瘍径≧120mm (HR:3.4, 95%CI:1.18-9.63), PAN転移個数≧3 (HR:2.24, 95%CI:1.21-4.15)が予後不良因子として抽出され,5年OSは予後不良因子のない群で有意に良好(有/無:9.3/87.5%, log-rank P<0.001) であった.術後再発は49例(75%)に認められ,PAN再発は15例(a2/b1:9/12例)で郭清部位再発は10例であり,郭清度との相関はなかった.検討②:対象症例は22例.非切除因子≧2が8例,cBulkyN有が10例であった.NAC内容はSP,SOX/DCS/SOXT,XPT/他: 11/3/7/1例,RECISTによるPR以上18例,ycPAN陽性8例(36%),PAN郭清は完全/不完全:6/16例であった.NAC開始からのOS(3年)は56.4%で,NAC前cTNM因子にて予後に有意差を認めず(cBulkyN有/無:36/75%, log-rank P=0.38),NAC後ycN因子が予後に影響する傾向を認めた(≥ycN1/ycN0:47.1/100%, P=0.07,ycBulkyN有/無:0/62%, P<0.01,ycPAN有/無:33.3/69.3%, P=0.07).NAC後ycN0かつycPAN陰性症例(n=3)は全例3年生存していた.術後再発は17例(77.3%)に認め,PAN再発は10例(a2/b1:3/9例)で郭清部位再発は7例であった.PAN再発はcPAN(+)がb1のみ, 2個以内(n=8)で1例(12.5%, P=0.02)のみ,ycPAN(+)a2症例(n=3)は全例PAN再発していた(P=0.04).【考察】病理学的PAN陽性例であっても20%の患者が5年生存する.今回の検討から,画像上PAN陽性例に対してNACを行い奏功具合を確認しながら症例を絞ってPAN切除をすることの意義が示唆されたが,系統的郭清が必要か否かは不明である.少数例の後方視的検討で観察期間も短いため,多施設での症例集積が望まれる.
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