演題
RS1-48-18-3
直腸GIST切除症例の治療成績 |
【背景と目的】GISTは胃に発生することが多く, 直腸に発生するGISTは比較的まれである. GISTの再発リスク分類として, 診療ガイドラインでは腫瘍径と核分裂像数によるFletcher分類と, 発生部位を考慮したMiettinen分類, Modified Fletcher分類が記載されている. 一般に大腸に発生するGISTは予後不良とされているが, 直腸GISTに対する切除治療成績についての報告例は少ない. そこで, 当院で直腸GISTに対して切除を施行した症例の長期成績を評価することを目的とした. 【対象】2005年7月から2015年10月までに直腸GISTに対して切除術を施行した18例を対象とした. 【結果】性別は男性10例, 女性8例であり, 年齢中央値は63歳(40-80歳), 占居部位はRS/ Rbそれぞれ1/ 17例. GISTと術前診断された症例は14例であり, 術前イマチニブ治療は2例に施行されていた. 手術アプローチは経肛門/ 開腹/ 腹腔鏡下/ ロボット支援下それぞれ2/ 1/ 8/ 7例. 術式は局所切除/ 前方切除/ 直腸切断/ 括約筋間直腸切除それぞれ2/ 2/ 3/ 11例. 病理所見で腫瘍径中央値は5.2cm(1.5-9.9cm), 切除断端陽性は3例であった. Modified Fletcher分類による再発リスク評価は超低リスク/ 低リスク/ 高リスクそれぞれ1/ 7/ 10例であった. 術後イマチニブによる補助化学療法は7例に施行されていた. 術後再発は3例あり, 局所再発2例, 肝転移再発1例であった. 局所再発はいずれも切除断端陽性症例であった. 5年無再発生存率は77.1%, 観察期間の中央値38ヶ月(13-91ヶ月)であった. 5年生存率は100%, 全生存期間の中央値は65ヶ月であった. 【結論】直腸GIST切除症例の予後は比較的良好であるが, 切除断端陽性症例では局所再発をきたす可能性が高いため, 腫瘍の完全切除が重要である.