演題

RS1-42-15-2

腹膜播種を伴う大腸癌の治療戦略

[演者] 諏訪 宏和:1
[著者] 大田 貢由:1, 諏訪 雄亮:2, 中川 和也:1, 樅山 将士:2, 石部 敦士:2, 渡邉 純:3, 渡辺 一輝:4, 國崎 主税:1, 遠藤 格:2
1:横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター, 2:横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学, 3:横須賀共済病院 外科, 4:NTT東日本関東病院 外科

【背景】
腹膜播種を伴う大腸癌の治療では,集学的治療が必要であるが,標準治療は確立されていない.
【目的】
腹膜播種を伴う大腸癌に対する治療成績をretrospectiveに検証し,今後の治療戦略の検討を行う.
【対象と方法】
2008年より2015年までに手術を施行した大腸癌2570例中,術中所見で腹膜播種を認めた97例を対象とし,臨床病理学的因子,原発巣切除率,予後について検討を行った.
【結果】
年齢中央値65歳,男性55例,女性42例.占居部位は,結腸72例,直腸・肛門管27例.sP1:25例,sP2:28例,sP3:44例.腹膜播種単独症例は47例,他の遠隔転移を伴う症例は50例.術前診断で腹膜播種ありと診断していた症例は44例(術前診断率45%).術前診断で腹膜播種なしと診断していた53例において,他の遠隔転移なし(cStageII or III)27例では,狭窄症状のため術前化学療法前にストマ造設を予定していた1例を除く26例中,1例はHartmann手術へと,4例で非切除へと変更になった.他の遠隔転移あり(cStageIV)26例では,16例で原発切除予定であったが,2例はHartmann手術へと,3例は非切除へと変更になった.全症例の原発巣切除率は58/97=60%.播種分類別では,sP1:21/25=84%,sP2:21/28=75%,sP3:16/44=36%であったが,播種単独症例に限ると,sP1:15/17=88%,sP2:12/12=100%,sP3:6/18=33%であり,sP2のみ播種単独症例の切除率が有意に高かった(p=0.008).予後の検討では,3年生存率/MSTが,sP1:56.3%/38.9ヶ月,sP2:32.6%/18.2ヶ月,sP3:7.4%/13.9ヶ月(p=0.002)と有意差を認めた.原発巣の切除・非切除による比較では,sP1(p=0.256)およびsP3(p=0.278)では有意差を認めなかったが,sP2で,切除:36.9%/18.6ヶ月,非切除:0%/16.4ヶ月(p=0.020)と切除例で有意に予後が良好であった.また,播種単独症例に限ると,sP1:58.7%/38.9ヶ月,sP2:50.9%/-,sP3:14.0%/14.4ヶ月であり,有意差は得られなかった(p=0.152)(sP1 vs sP2:p=0.990,sP2 vs sP3:p=0.194).
【結語】
腹膜播種の術前診断率は45%と術前診断の難しさが明らかとなったが,術中に播種と診断されることで術式変更を要する症例もあることから,術前画像の詳細な読影など術前診断率の向上に努める必要がある.播種単独のsP2症例は,原発巣切除によりsP1とほぼ同等の予後が期待できるため,積極的に原発巣切除を考慮すべきと考えられた.
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