演題

RS1-42-15-1

大腸癌同時性腹膜転移に対する治療戦略

[演者] 佐々木 義之:1
[著者] 植田 剛:1, 井上 隆:1,2, 尾原 伸作:1, 中本 貴透:1, 中村 保幸:1, 小山 文一:2, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学医学部 消化器外科・小児外科・乳腺外科学, 2:奈良県立医科大学附属病院 中央内視鏡部

【目的・方法】腹膜転移を有する大腸癌は予後不良である.原発巣,転移巣の切除が治癒に重要と考え,当科ではできるかぎり肉眼的治癒切除を目指した手術の施行と術後化学療法を行ってきた.今回,腹膜播種転移を伴う大腸癌症例の治療成績および予後因子を解析し,現行治療方針の妥当性を検討した.2000年から2014年までの当科において同時性腹膜播種転移を認めた手術例46例を対象とした.対象例の臨床病理学因子別の治療成績についてについて検討した.
【結果】対象例の年齢は平均67歳.男性24例女性22例.原発巣部位は右側20例で左側26例,P1が15例,P2が14例,P3が17例であり,他臓器転移合併例が17例あった.原発巣切除されたものが39例で,播種巣切除を含むCurB例は22例であった.対象例のMSTは11.6か月で1年生存率は50%,2年生存率は24%であった.臨床病理学的因子と生存期間の単変量解析では,年齢,腫瘍深達度,リンパ節転移数,脈管侵襲,原発巣切除,播種巣切除,多剤併用化学療法が有意な予後規定因子であった.一方,腹膜播種(P因子),他臓器転移の有無では有意差を認めなかった.多変量解析では深達度,脈管侵襲,化学療法の有無が独立予後規定因子であり,原発巣切除および播種巣切除の有無については差を認めなかった.化学療法が施行されていなかった例は23例あり,うち10例が2005年以前の症例であり,また11例が75歳以上の高齢であった.腹膜播種と他臓器転移の合併率はP1/P2/P3:73%/64%/47%とP1症例で多い傾向にあり,また播種と化学療法の有無はP1/P2/P3:40%/57%/52%とP1例で少ない傾向にあった.24か月以上の長期生存例は11例あり,そのうち5例は他臓器転移も合併していたが,全例転移巣が切除されていた.また全11例にl-OHPもしくはCPT-11basedの化学療法が施行されていた.
【結語】同時性腹膜転移を有する大腸癌では,l-OHP,CPT-11を含む術後化学療法の施行により,生存期間の延長が期待でき,さらに播種転移以外の他臓器転移の合併切除により,長期生存も期待し得る可能性が示唆された.
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