演題

RS1-41-15-4

Matched-pair analysisを用いたR1切除可能P0CY1胃癌に対する手術治療の意義の検討

[演者] 入野 誠之:1
[著者] 川村 泰一:1, 坂東 悦郎:1, 谷澤 豊:1, 幕内 梨恵:1, 加治 早苗:1, 大森 隼人:1, 衣笠 祐介:2, 杉浦 禎一:3, 寺島 雅典:1
1:静岡県立静岡がんセンター 胃外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 大腸外科, 3:静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科

【背景】胃癌領域においてはREGATTA trialにより単一の非治癒因子をもつ胃癌に対する減量手術の生存に対する寄与は示せなかった.しかしながら,我々はR1切除可能P0CY1胃癌に対しては手術が安全に施行できる範囲において郭清を伴う胃切除術を積極的に行っており,その治療成績を検討したので報告する.
【方法】現行のガイドライン上CY1は非治癒切除であるため,他臓器合併切除を伴うような拡大手術症例は本解析から除外した.2002年から2015年までの間に当院で幽門側胃切除を行い,CY1以外の非治癒因子を持たず,深達度cSS/SE,D1+以上の郭清を行った症例(CY1群)を対象に,P0CY0症例(CY0群)をコントロールとしてmatchingを行った.共変量として年齢,性別,ASAスコア,BMI,腫瘍径,肉眼型,cT/N因子を考慮し,propensity scoreを用いて1:1でmatchさせた.
【結果】条件を満たす症例は428例,うちP0CY1症例は63例(14.7%).それらに対しP0CY0のコントロール63例をmatchさせた.Matchingの結果,2群間の上記共変量に有意差は認められなかった.本解析における患者集団のリンパ節転移個数中央値はCY0/CY1群で9/14個と高度進行症例が多かった.手術時間,出血量および術後在院日数では両群間に有意差はなく,術後合併症発症率(Clavien-Dindo分類Grade IIIa以上)はCY0/CY1群=11.1%/9.5% (p=1.000),術後(補助)化学療法はCY0/CY1群の58.7%/79.4%が受けていた.生存期間中央値はCY0/CY1=51ヶ月/36ヶ月 (p=0.116)であり,CY0群が良好であったもののCY1群もそれに劣らない成績であった.本解析における患者集団においては,CY1はCox比例ハザード解析にて独立した予後因子とはならなかった(HR 1.43, 95%CI: 0.91-2.27).
【考察】CY1症例は高度に進行した症例が多いものの,同程度に進行したCY0症例と比較して手術は安全に施行することができ,後治療も遅滞なく導入可能で,劣らぬ5年生存率を達成できており,R1切除可能P0CY1胃癌に対する手術治療の意義は相当程度あると考える.今後は切除を前提とした術前化学療法等を交えた治療戦略の構築が望まれる.
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