演題

Induction chemotherapyを用いた胃癌肝転移切除の検討

[演者] 川崎 浩一郎:1
[著者] 山下 裕玄:1, 愛甲 丞:1, 八木 浩一:1, 西田 正人:1, 三ツ井 崇司:1, 河口 義邦:2, 長谷川 潔:2, 國土 典宏:2, 瀬戸 泰之:1
1:東京大学附属病院 胃・食道外科, 2:東京大学附属病院 肝・胆・膵外科

【背景】現在の胃癌治療ガイドライン第4版では,肝転移は切除不能進行再発胃癌とされ,肝切除などの局所切除は推奨されず化学療法が第一選択である.腹膜転移を含めた他の非治癒因子を有することが多いこと,切除後の高い残肝再発率にあると推測される.過去の後方視的な報告を参照すると,転移個数が少数であるなどの条件に限定すれば肝切除の選択肢も考慮できるが,現時点では見解の一致が見られていない.当施設では胃癌肝転移に対してInduction chemotherapyを用い,その治療効果をみてR0切除の可能性につき検討するようにしている.
【対象・方法】2013年1月以降に胃癌肝転移に対して全身化学療法を施行した30例(男性26例,女性4例)について,臨床病理学的因子を検討した.
【結果】対象の初回治療時年齢の中央値は72歳.同時性肝転移15例,異時性肝転移15例.肝転移以外の遠隔転移は,腹膜4例,肺1例,遠隔リンパ節3例であった.観察期間中の原病死を16例で認め,他病死は認めなかった.初回治療からの全生存期間中央値は26.5か月であった.1st lineレジメンはSP療法/ S-1単剤/ XP療法/ SOX療法が18/6/3/1例,その他が2例.HER2陽性の18例にはTrastuzumabを併用した.肝転移に対して全身化学療法を行い,その後肝転移の切除を施行した症例は7例.5例が1st lineの効果判定PRで肝切除を施行.1例は1st lineの効果判定がPDであったが,肝転移の縮小を認めたため胃全摘+肝切除を施行しR0が得られた.1例は3rd line施行後RFAで長期コントロールがつき肝外病変がないため肝切除を施行した.初回治療後生存期間はそれぞれ6.3か月,19.0ヵ月,19.3か月,19.5か月,22.8か月,41.6か月,55.5か月で,いずれも生存中である.肝切除後再発は2例で認め,肝+リンパ節,肝転移の横隔膜浸潤による局所再発であったが,効果判定PRの5例はすべて無再発生存中である.
【考察】原発巣深達度,肝転移個数,肝転移巣最大径が肝切除後の予後規定因子であるという報告が多いが,肝転移以外の非治癒因子を持たない場合の切除適応については見解の一致は見られていない.Induction chemotherapyの反応性を肝切除適応の因子とすることは,切除適応を拡大し,予後改善をもたらす可能性がある.
詳細検索