演題

RS2-62-7-2

一時的人工肛門閉鎖術における諸問題・術後短期成績についての検討

[演者] 豊田 尚潔:1
[著者] 鶴田 雅士:1, 長谷川 博俊:1, 岡林 剛史:1, 石田 隆:1, 安藤 知史:1, 岩間 望:1, 鈴村 博史:1, 徳田 敏樹:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

【背景】術後縫合不全の発生が高率に予想される低位直腸癌に対する手術や緊急手術においては,一時的に人工肛門を造設し,吻合部の安静を保つことで安全に手術が可能とされる.しかし一時的人工肛門造設においては患者のQOLを下げることに加えて,閉鎖も含めて二期的手術が必要となること,医療費の増大,人工肛門閉鎖手術においても少なからず発生する術後合併症など無視できない問題も多い.今回われわれは自施設で経験した一時的人工肛門に対する閉鎖手術における術後の諸問題・短期成績について検討した.

【方法】2012年1月から2016年12月の間に当院で一時的回腸人工肛門造設後の閉鎖術を施行した103例を対象とした.主解析項目を人工肛門閉鎖術後の合併症(縫合不全,イレウス,SSIなど)とし,様々な因子との関連についてロジスティック回帰分析を用いて後方視的に解析した.

【結果】患者の内訳は男性59名,女性44名であった.人工肛門造設に至った原疾患としては結腸・直腸癌36名,潰瘍性大腸炎27名,消化管穿孔12名,クローン病4名,その他24名であった.手術時間,出血量および入院期間の中央値はそれぞれ92分,17ml,10日であった.また全体で25名(24.2%)にClavien Dido分類Grade2以上の合併症を認めた.最も多く見られた合併症は腸閉塞であり,13名(12.6%)に認めた.続いてSSIが 8名(7.7%)であり,縫合不全(人工肛門閉鎖部2名,原疾患手術部1名)は3名(2.9%)に認められた.全合併症および各合併症の発生に関連する因子について単変量解析を行ったところ,術中出血量がSSI発生に有意な相関を認め(Odds Ratio = 8.77 [1.89 - 40.70], p = 0.006),さらに相関を持つ傾向がみられたPS,手術時間,術中出血量を用いた多変量解析では術中出血量のみがSSI発生に対する独立したリスク因子であった(Odds Ratio = 9.00 [1.44 - 56.18], p = 0.019).

【結語】一時的人工肛門閉鎖術における諸問題について検討した.人工肛門閉鎖は比較的安全な手術と考えられているが,中には癒着などにより手術創の延長を余儀なくされ,出血量が多くなることがあり,術後合併症のリスクとなることが考えられる.経肛門ドレーンなどの代替案や造設の適応の再考などさらなる検討も必要と考えられた.
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