演題

RS2-61-7-6

腸瘻に起因したイレウス症例の検討

[演者] 西川 泰代:1
[著者] 間中 大:1, 工藤 亮:1, 安 英男:1, 川口 清貴:1, 神頭 聡:1, 濱洲 晋哉:1, 小西 小百合:1, 西躰 隆太:1
1:京都桂病院 消化器センター・外科

【緒言】当院では食道癌手術や膵頭十二指腸切除術など高度侵襲手術では腸瘻を造設し術後の栄養管理に使用している.2012年以降,食道手術および膵臓手術症例の計58件に腸瘻造設を行ったが,腸瘻に起因するイレウスを4例経験した.これを契機に腸瘻チューブ挿入部の腸管を腹壁に挙上しない新たな腸瘻造設法を考案した.
【イレウス症例の検討】年齢は67~79歳,男性3名,女性1名であった.術式は胸腔鏡下食道亜全摘術・胃管後縦隔再建が3名,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が1名であった.いずれも手術時に腸瘻を造設している.2例は術後1ヶ月目で抜去,他2例は術後3ヶ月目に抜去した.イレウス発症までは術後4~22ヶ月であり,うち3例は絞扼性イレウスの診断で緊急手術を行った.いずれも腹壁に挙上固定された腸瘻造設部位を軸として小腸が回転したことがイレウスの原因であった.3例とも腸管血流は問題なく,癒着部分を剥離して手術は終了した.他1例は食道癌術後の症例で,術後5ヶ月目に癒着性イレウスを発症したが保存的治療で軽快した.吻合部狭窄があり栄養管理のため術後8ヶ月目に再度腸瘻造設術を行った.開腹すると初回手術の腸瘻造設部がトライツ靭帯より約10cmのところにあり,腹壁と癒着して急峻な角度で吊り上がっていたことから,同部位がイレウスの原因と考えられた.癒着剥離を行い,トライツ靭帯より約30cmの空腸に新たに腸瘻を造設した.
【結語】腸瘻造設後のイレウスの原因として,トライツ靭帯から腸瘻刺入部の距離が短いことや,腹壁との固定が長さを持った「線」ではなく「点」として固定されていることが報告されている.我々は腸瘻挿入部の腸管を直線化して固定したにも関わらず,固定が脱落して絞扼性イレウスを発症した症例を経験したことから,腸瘻チューブ挿入部の腸管を挙上して腹壁に固定することがイレウスの原因に成り得ると考えた.これらのことを踏まえ,トライツ靭帯から約30cmの空腸に腸瘻チューブを挿入して左後~側腹部に固定し,腸瘻チューブは皮下トンネルを通して腹壁前面から体外に誘導するという方法を新たに考案したので,手術手技も含めて報告する.
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