演題

RS2-61-7-5

食道癌術後における空腸瘻を原因とした腸閉塞の検討

[演者] 中田 祐紀:1
[著者] 河口 賀彦:1, 平山 和義:1, 土屋 雅人:1, 赤池 英憲:1, 藤井 秀樹:1
1:山梨大学医学部 外科学講座第一

【目的】食道癌に対する食道切除術は高侵襲であり,術後の栄養管理が非常に重要である.空腸瘻を造設し経腸栄養を行うことは栄養状態を改善し周術期管理や合併症の管理にメリットがある反面,空腸瘻を原因とした腸閉塞などの合併症も報告されている.そこで我々は当科において食道癌手術の際に造設した空腸瘻が原因で腸閉塞を発症し手術に至った症例を検討し報告する.【方法】2001年1月から2016年12月の期間で当科において食道癌手術で空腸瘻造設術を行った症例(339例)のうち空腸瘻が原因で発症した腸閉塞に対して手術を行った症例について検討した.【結果】7例(2.06%)において手術をおこなった.手術を行った時点での年齢の平均は66.0歳であり,初回手術から腸閉塞に対する手術までの期間の平均は462日であった.3例が術後1年以上を経過した状態での発症であったが2例において初回手術から1か月以内での発症であった.腸閉塞の原因は腸瘻造設部での捻転が1例,腸瘻造設部とその付近にできたバンドによる内ヘルニアが2例,腸瘻造設部の側面への空腸の癒着が3例,腸瘻口側での強い屈曲が1例であった.【考察】当科では食道癌手術では空腸瘻の造設を全例で行い,術後早期からの経腸栄養を行うことによって周術期管理をしている.空腸瘻の造設部での捻転症例を経験してから,腸瘻の腹壁への固定部を点ではなく線で固定することによって捻転を防止するように変更した.それ以来捻転の症例は経験していない.当科ではトライツ靱帯から20cmほどの空腸を挙上してボタン式胃瘻カテーテルまたは空腸瘻栄養用チューブを挿入し左側腹部に固定している.トライツ靱帯から腸瘻造設部までの角度が急峻になることによって腸瘻造設部での強い屈曲が起こり腸閉塞をきたした例を経験した.そのため腸瘻造設部の位置は閉腹したあとの腸管の位置と走行を考えて固定を行うことが大切である.今後は腹腔鏡補助下での腸瘻造設の症例も増加し,ますます腸瘻造設部の位置が重要になることが予想される.経腸栄養での周術期管理のメリットを享受するために,腸瘻が起因するトラブルを最小限にするように固定や造設位置を検討することで腸閉塞をきたさない腸瘻造設を行っていくことが重要である.
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