演題

RS2-61-7-3

食道癌術後空腸瘻に起因するイレウスの検討と対策

[演者] 渡邉 孝啓:1
[著者] 兼清 信介:1, 飯田 通久:1, 坂本 和彦:1, 鈴木 伸明:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:3, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 消化器・腫瘍外科学, 2:山口大学附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部 先端がん治療開発学

【はじめに】食道癌手術は高侵襲であり,周術期栄養管理のための経腸栄養は有用である. 我々は手術時に腸瘻を造設して術後早期から経腸栄養による栄養管理を行っているが,腸瘻造設に起因したイレウスをしばしば発症することがある.今回,腸瘻に関連した食道癌術後のイレウス症例の検討を行い,当科での工夫について報告する.【対象・方法】2006年1月から2012年12月の食道癌切除症例125例と,2013年以降の腸瘻造設法変更後の77例について比較検討した.腸瘻造設法の変更は,Treitz靭帯より30cmの空腸にチューブをWitzel型で挿入し,直接腹腔外に導入するのではなく,腸管の長軸方向に約3cm長で線状になる様に腹壁に固定した.【結果】従来法で造設した空腸瘻に起因するイレウス症例は10例(12.5%)であった.食道癌手術からイレウス発症までの期間の中央値は623日(37-1985日)で,Treitz靭帯から空腸瘻までの距離は20cm以内が7例,30cmが3例であった.手術を要した症例は7例(開腹術4例,腹腔鏡手術3例)で,術中所見としては,腸瘻の腹壁固定部を中心に腸管が屈曲や捻転していた.術式を変更した後の77症例のうち,イレウスの発症は2例(2.6%)であった.イレウスの原因は,Witzelによる狭窄と腸瘻周囲の大網癒着によるバンド形成であった.【考察】空腸瘻に起因するイレウスは比較的頻度の高い合併症であった.従来法でのイレウスの機序としては,腸瘻がTreitz靭帯より距離のない部位(15-20cm)で腹壁に吊り上るように点状に固定されていたため,同部位を軸として屈曲,捻転を来たしていたと思われた.造設法変更後のイレウスの発症は2例(2.6%)で,観察期間の差はあるが,その頻度はあきらかに減少傾向にあると考えられた.【結語】腸瘻造設における術式の工夫は,食道癌術後空腸瘻に起因するイレウスの発症予防に有用であると考える.
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