演題

RS2-59-7-6

双孔式回腸人工肛門造設術後における短期合併症についての検討-潰瘍性大腸炎手術と大腸癌手術の比較-

[演者] 三宅 亨:1
[著者] 清水 智治:1, 園田 寛道:1, 植木 智之:1, 太田 裕之:2, 竹林 克士:1, 飯田 飯也:1, 目片 英治:2, 遠藤 善裕:3, 谷 眞至:1
1:滋賀医科大学医学部 外科学講座消化器外科乳腺・一般外科, 2:滋賀医科大学医学部 総合外科学講座, 3:滋賀医科大学医学部 臨床看護学講座

[目的] 一時的双孔式回腸人工肛門は人工肛門の肛門側にある吻合部の安静や縫合不全の重症化を避ける目的で造設される.吻合部が低位である直腸癌や大腸全摘術を行う潰瘍性大腸炎手術で作成されることが多いが,主に水分を吸収する大腸を経由しないことから下痢やそれに伴う腎機能障害を認めることもあり,予想される合併症に対応した術後管理が重要である.今回我々は双孔式回腸人工肛門造設を造設した大腸癌と潰瘍性大腸炎における術後短期合併症について検討を行った.[対象] 2011年2月から2016年9月の期間に当院で待機的に双孔式回腸人工肛門を造設した患者83例.原疾患は原発性直腸癌が55例,直腸癌再発4例,GIST1例,潰瘍性大腸炎(UC群)が23例であった.潰瘍性大腸炎に対して,全例に大腸全摘術が行われた.[結果]Clavien-Dinodo分類II以上の術後合併症は68件,37症例 (44%) に認めた.術後腸閉塞は14例 (16%)に認め,UC群(6例26%),大腸癌群(8例:13%)と両群で有意な差は認めなかった(P=0.168).22例(26%)に2000ml/dayの排液を認めるhigh-output syndrome (HOS)を認め,最も多い合併症であり,術後早期(術後2-4日)と術後1週間(術後6-8日)にそれぞれ8例(36%)に認めた.術後腎機能障害 (Creが術前から0.3mg/dl以上増加) を全症例中24症例 (28%)で認めたが,high-output syndromeの有無で腎機能障害の差を認めなかった(P=0.842).44症例 (53%)で止痢薬が使用されており,そのうち24症例は複数の止痢薬が併用されていた.一方で,high-output syndromeはUC群(10例43%),大腸癌群(11例19%)とUC群で有意に多く認めた(P=0.03)が,腎機能障害は両群で差を認めなかった(UC群:大腸癌群=5例 (21%):19 (31%), P=0.378).[考察] 潰瘍性大腸炎群で術後high-output syndromeを多く認めた.回腸嚢を作成することにより,人工肛門が回腸末端から約40cm程度口側に作成されることも一因と考えられる.潰瘍性大腸炎術後は止痢剤の使用や適切な輸液管理で腎機能障害を予防することが必要と考えられた.
詳細検索