演題

RS2-59-7-4

腹腔鏡下直腸切断術における人工肛門造設術の成績と新たな手術手技

[演者] 武田 崇志:1
[著者] 大東 誠司:1, 渡辺 貴之:1, 藤川 葵:1, 鈴木 研裕:1, 嶋田 元:1, 砂川 宏樹:1, 久保田 啓介:1, 柵瀬 信太朗:1, 岸田 明博:1
1:聖路加国際病院 消化器・一般外科

【目的】開腹手術における永久人工肛門造設術の腸管挙上は傍ストマヘルニアやストマ脱出の予防目的で後腹膜経路を用いることが一般的である.しかし腹腔鏡手術では後腹膜剥離,トンネリング操作の煩雑さや腸管挙上において気腹圧維持が困難であるために腹腔内経路を選択するとの報告が多い.腸管挙上経路によるストマ関連合併症に関する報告は様々で議論の余地はあるが,当科では腹腔鏡手術においても開腹手術と同様に後腹膜経路を選択している.今回は腹腔鏡下直腸切断術における人工肛門造設術の成績を検討し,さらに腸管挙上の際に気腹維持を目的とした新たな手術手技を導入したためビデオを供覧し報告する.
【対象】2013年1月~2016年6月に施行した原発性大腸癌手術457例のうち腹腔鏡下直腸切断術10例を対象とし患者背景や術後合併症について後方視的検討を行った.
【結果】年齢中央値:69歳(66-88),男性6例(55%).BMI:22.1kg/m2 (17.8-26.0).人工肛門関連合併症は2例(20%)であり,腹膜のバンドによる挙上腸管閉塞が1例,挙上腸管膜の浮腫によるストマ壊死が1例といずれも後腹膜の不適切な剥離操作によると考えられた.そこで必要十分な後腹膜剥離や安全な腸管挙上を腹腔鏡で行うために下記の手技を導入した.
【新たな手技】
① 腹腔内操作で可及的に後腹膜剥離を行っておく.
② 人工肛門造設部位で腹直筋後鞘と壁側腹膜との間を2㎝ほど鈍的剥離する.
③ 腹膜外腔にウーンドリトラクター(Alexis XSサイズ)のインナーリングを挿入する.
④ アウターリングにグローブを装着し,指先に小孔を開け鉗子を挿入する.
⑤ 気腹を行い腹腔鏡下に人工肛門造設部位から挿入した鉗子を用い後腹膜のトンネリングを行う.
⑥ 鉗子で腸管断端を把持して腹膜外経路で腸管挙上を行う.
上記手技を導入以降ストマ関連合併症は経験していない.
【結語】腹腔鏡による後腹膜経路人工肛門造設術では不適切な後腹膜剥離が合併症の要因となると思われた.後腹膜剥離や腸管挙上の際に気腹を保つことのできる手術手技を用いることで安全かつ容易な人工肛門造設が可能となると考えられる.
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