演題

RS2-59-7-3

直腸癌手術時の一時的回腸人工肛門の問題点

[演者] 井原 啓佑:1
[著者] 山口 悟:1, 志田 陽介:1, 横山 悠:1, 尾形 英生:1, 伊藤 淳:1, 中島 政信:1, 佐々木 欣郎:1, 土岡 丘:1, 加藤 広行:1
1:獨協医科大学医学部 第一外科学

【はじめに】
下部直腸癌に対する制癌剤治療の発展および手術技術の向上から,肛門を温存できる症例が増加している.直腸超低位前方切除術や内肛門括約筋切除術の際に縫合不全による重篤な事態を回避するために一時的人工肛門を造設されている.一般的には回腸人工肛門を選択する場合が多いが,回腸人工肛門,結腸人工肛門の各々に管理面や術後合併症の発症などのメリット,デメリットがあり,どのような症例に対してどちらを選択するかに関してはいまだ議論の余地がある.
【方法】
2007年から2016年の間に直腸癌の診断で手術が施行された251例を対象とした.縫合不全を発症したのちに,人工肛門の造設がなされた症例や,直腸高位前方切除術が術式である症例は除外した.肛門温存術および一時的人工肛門が造設された87例を対象とした.回腸人工肛門群と横行結腸人工肛門群に分け,術前合併症の有無やアウトカムについて比較検討を行った.
【結果】
対象の年齢の中央値は66歳.男性69例,女性18例であった.全症例においてClavien-Dindo分類IIIb以上の合併症は認めなかった.回腸人工肛門の症例は72例,横行結腸人工肛門の症例は15例であった.2群で比較検討を行った.年齢や性差,腫瘍占拠部位に関しては有意差を認めなかった.腎障害や心臓手術後の既往を有する患者においては横行結腸人工肛門が多く造設されていた.回腸人工肛門群は有意に1日排液量1,500mlを超すhigh-volume output stoma(HOS)の発症の比率が多かった.HOSの症例は8例(11%)あり,全例において脱水・腎機能障害から再入院を必要とした.また,イレウスが回腸人工肛門群で有意に多い結果となった (p=0.03).
【結論・考察】
回腸人工肛門は横行結腸人工肛門と比較し,手技は簡便であるものの,イレウス,HOSの合併症が多く,脱水を避けたいハイリスクな症例では安易に選択すべきではないと思われた.
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