演題

胃癌腹膜播種,腹腔内投与併用化学療法奏効例におけるConversion Surgery

[演者] 山口 博紀:1,2
[著者] 石神 浩徳:4, 齋藤 心:2, 倉科 憲太郎:2, 大澤 英之:1,2, 松本 志郎:2, 藤井 博文:1, 細谷 好則:2, 北山 丈二:2,3, 佐田 尚宏:2
1:自治医科大学医学部 臨床腫瘍部, 2:自治医科大学医学部 消化器外科学, 3:自治医科大学医学部 臨床研究支援センター, 4:東京大学附属病院 外来化学療法部

【背景】胃癌腹膜播種に対するS-1+パクリタキセル(PTX)経静脈・腹腔内投与併用化学療法は,これまで行ってきた臨床試験において良好な治療成績を示している.我々は腹腔内化学療法の奏効症例に対して,conversion surgery として胃切除を行ってきた.また,胃切除の対象となる症例を選別するためのバイオマーカーについても研究をすすめてきた.
【方法】2006年より2011年に東京大学にてS-1+PTX経静脈・腹腔内投与併用化学療法を施行した胃癌腹膜播種症例の臨床病理学的背景や胃切除の有無,治療成績について後方視的に検討した.Conversion surgeryは,2nd lookの審査腹腔鏡にて腹膜播種病変に対して奏効が確認され,腹腔洗浄細胞診が陰性化し,CTにて遠隔転移を認めない症例に施行した.審査腹腔鏡時あるいは腹腔ポートより採取された洗浄腹水中のCEA mRNAをTRC法にて測定し,CEA mRNA/PBGD mRNA×104によりCEA mRNA Indexを求めた.
【結果】観察期間中に腹腔内化学療法を受けた100症例中,64例に胃切除を施行した.手術症例の生存期間中央値(MST)は 30.5ヵ月であり,切除に至らなかった症例のMSTは 14.3ヵ月であった.手術症例中,P0Cy1およびP1症例は,P2,P3症例と比較し有意に良好な生存率を示した.無再発生存期間は17ヶ月であり,最も多い再発部位は腹膜であった.洗浄腹水中のCEA mRNAが測定された68症例中,39例に胃切除が施行された.手術前に採取された検体中のCEA mRNA Indexが200未満であった24症例のMSTは39.9ヶ月,200以上の15症例のMSTは17.9ヶ月であり,両者生存率の間に有意差を認めた (p<0.001).また,多変量解析の結果,「術前洗浄腹水中CEA mRNA Index 200以上」は胃切除症例における独立した予後危険因子であった.
【結論】
手術と組み合わせたPTX腹腔内投与併用化学療法は,胃癌腹膜播種に対する有望な治療法であり,ブレークスルーとなりうる治療戦略である.洗浄腹水中CEA mRNAの定量測定は腹腔内化学療法における有用なバイオマーカーとして期待される.
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