演題

RS1-33-13-4

大腸癌手術における双孔式ストマの治療成績

[演者] 吉田 雅:1
[著者] 本間 重紀:1, 大野 陽介:1, 市川 伸樹:1, 川村 秀樹:1, 武冨 紹信:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅰ

【緒言】双孔式ストマは,直腸癌根治術の際の縫合不全防止目的や,切除不能大腸癌に対する減圧目的に造設される.しかしながら,ストマ特有の合併症発生や患者のQOL低下も否めない.今回,当科での大腸癌手術症例における双孔式ストマの治療成績について後方視的に検討した.
【対象と方法】2008年6月から2016年10月までの間,当院で施行した大腸癌手術528例中,双孔式ストマを造設した46例(8.7%)を対象とし,根治切除例に対するcovering stoma造設(CS)群25例,切除不能例に対するdiverting stoma (DS)群21例に分類した.当科でのストマ造設腸管は,直腸癌根治術時のcovering stomaは回腸,非切除例に対する減圧目的の際は症例毎に選択している.なお,covering stoma症例の場合,原則として初回手術半年後にストマ閉鎖を行っている.
【結果】ストマ造設腸管は,CS群は全例回腸(100%),DS群は回腸8例(38%),横行結腸7例(33%),S状結腸6例(29%)であった.CS群は全例腹腔鏡下手術(内RPS13例),DS群は全例開腹手術であった.年齢中央値(以下,中央値で記載)は59/67歳(CS vs. DS群),男性12 (48)/ 8例(38%)であった.術式は,CS群:左半結腸切除1例,低位前方切除20例,大腸全摘4例であり,大腸全摘の4例は潰瘍性大腸炎と家族性大腸腺腫症に合併した直腸癌が2例ずつ含まれていた.DS群は回腸ストマ造設8例,横行結腸ストマ造設7例,S状結腸ストマ造設6例であった.手術時間は249/ 83分,出血量は0/ 0 gram,術後在院日数は15/ 13日.術後合併症は8 (32)/ 6 (29%)例に認めたが,縫合不全は認めなかった.ストマ関連合併症は,CS群でoutlet obstruction 3例,傍ストマヘルニア2例を発症したが,DS群では認めなかった.中でも腹腔鏡下大腸全摘4例中2例(50%)にoutlet obstructionを高率に併発したが,保存的に軽快した.また,ストマ造設による排便増加による腎機能障害が懸念されたが,CTCAE Grade 1以上の腎機能障害を呈した症例は,両群共に認めなかった.今回,CS群25例中19例(76%)にストマ閉鎖を行っており,初回手術からストマ閉鎖までの期間は,195日であった.閉鎖後1例でイレウスを発症したが,保存的に軽快した.
【結論】大腸癌に対する双孔式ストマ造設は概ね安全に施行されていたが,腹腔鏡下大腸全摘の際に造設する回腸ストマは,outlet obstructionの発生に注意を要すると考えられた.
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