演題

RS1-33-13-3

小腸人工肛門が直腸癌術後補助化学療法に与える影響

[演者] 中野 雅人:1
[著者] 亀山 仁史:1, 山田 沙季:1, 堀田 真之介:1, 田島 陽介:1, 岡村 拓磨:1, 中野 麻恵:1, 島田 能史:1, 小林 隆:1, 若井 俊文:1
1:新潟大学大学院 消化器・一般外科学

【背景】大腸癌のステージIIIおよびIIのハイリスク群において,再発リスク軽減のため,術後補助化学療法を行うことが推奨されている.しかし,5-FU製剤を中心とした化学療法は副作用として下痢を来す危険性があり,特に小腸人工肛門造設例では高度の下痢をきたす場合がある.また,小腸人工肛門造設例では,経過とともに腎機能が低下することも報告されている.これらを踏まえ,当院では,術前診断でリンパ節転移が疑われ,術後補助化学療法が必要である可能性が高い患者に人工肛門造設を行う場合,大腸人工肛門を選択している.今回,人工肛門造設が直腸癌術後補助化学療法に与える影響を検討した.【対象・方法】 2006年1月から2015年12月までに当科で手術を行ったStage II,III直腸癌106例中,1か月以上術後補助化学療法を行った63例を対象とした.人工肛門なし群(A群)と小腸人工肛門造設群(B群),大腸人工肛門造設群(C群)に分け,術後補助化学療法による有害事象,6か月治療完遂率,相対用量強度,および術後補助化学療法開始前と開始後6か月のeGFRについて比較した.なお,有害事象は,Common Terminology Criteria for Adverse Events (CACTE) Version 4.0に沿って評価した.【結果】 対象群63例中,A群25例,B群9例,C群29例であった.Grade 3以上の有害事象をA群8.0%,B群22.2%,C群3.5%に認め,C群に比べB群で多い傾向であった(P=0.07).また,Grade 3以上の下痢をA群8.7%,B群12.5%,C群3.9%に認め,3群間に有意な差を認めなかった.6か月治療完遂率はA群80.8%,B群66.7%,C群72.4%,相対用量強度の中央値(範囲)はA群100.0(16.7-100.0)%,B群75.0%(16.7-100.0)%,C群100.0(12.5-100.0)%であった.相対用量強度が85%以下である症例をA群6例,B群6例,C群9例に認め,A群と比べB群で有意に多く(P=0.02),また,C群に比べB群で多い傾向(P=0.06)であった.術後補助化学療法開始前と開始後6か月のeGFR平均値はそれぞれA群79.3,76.8 ml/min/1.73 m2,B群81.2,80.0 ml/min/1.73 m2,C群88.0,82.7 ml/min/1.73 m2であり,いずれの群でも術後補助化学療法開始前後で腎機能に有意な差を認めなかった.【結語】小腸人工肛門造設例は大腸人工肛門造設例に比べ,相対用量強度が低い傾向にあった.術前診断で術後補助化学療法を行うことが予想される場合には,大腸人工肛門を選択することが望ましいと考えられた.
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