演題

RS1-33-13-1

一時的回腸人工肛門造設が腎機能に及ぼす影響

[演者] 中野 麻恵:1
[著者] 亀山 仁史:1, 山田 沙季:1, 堀田 真之介:1, 田島 陽介:1, 岡村 拓磨:1, 中野 雅人:1, 島田 能史:1, 小林 隆:1, 若井 俊文:1
1:新潟大学大学院 消化器・一般外科学

【目的】 直腸腫瘍の肛門温存手術の増加に伴い,回腸を用いた一時的人工肛門造設術を行う症例が増えてきている.しかし,近年回腸人工肛門造設後の合併症の一つとして腎機能低下の報告が散見される.今回,我々は直腸手術における一時的回腸人工肛門造設術が腎機能に及ぼす影響を検討した.【対象・方法】 2000年から2015年までに,当院で直腸腫瘍に対して手術施行した603例のうち,一時的人工肛門造設術を施行した110例を対象とした.対象群を回腸人工肛門群と横行結腸人工肛門群に分け,人工肛門造設前と人工肛門閉鎖時の腎機能について比較した.また,回腸人工肛門群において人工肛門閉鎖時のeGFR値が60 ml/min/1.73 m2未満を腎機能低下群,60 ml/min/1.73 m2以上を腎機能正常群として,各種臨床因子と比較し,統計学的に解析した.【結果】 (1) 回腸人工肛門群は51例,横行結腸人工肛門群は59例であった.回腸人工肛門群では人工肛門造設前と人工肛門閉鎖時を比較するとCreは有意に上昇しており(P<0.001),eGFRは有意に低下していた(P<0.001).一方,横行結腸人工肛門群のCreは有意に低下しており(P = 0.048),eGFRは有意に上昇していた(P = 0.014).両群において人工肛門造設前のCre及びeGFRに有意差を認めなかったが,人工肛門閉鎖時のCreは回腸人工肛門群が有意に高く(P = 0.017),eGFRは回腸人工肛門群が有意に低下していた(P = 0.007).(2) 回腸人工肛門群51例のうち腎機能低下群は11例,腎機能正常群は40例であった.各種臨床因子による単変量解析の結果,腎機能低下群で回腸人工肛門造設前Cre基準値以上(P = 0.043),eGFR 60 ml/min/1.73 m2未満(P = 0.015),Alb 4.0 g/dl以下(P = 0.021),術後合併症なし(P = 0.042),腎疾患既往あり(P = 0.008)を有意に多く認めた.また,多変量解析では人工肛門造設前eGFR 60 ml/min/1.73 m2未満(P = 0.014,オッズ比31.901),Alb 4.0 g/dl以下(P = 0.050,オッズ比5.929)が腎機能低下における独立した危険因子であった.【結語】 直腸手術における一時的回腸人工肛門造設後に腎機能は低下していた.特に人工肛門造設術前のeGFRが60 ml/min/1.73 m2未満の症例やAlbが4.0 g/dl以下の症例においては,腎機能低下のリスクが低い横行結腸人工肛門を選択すべきだと考えられた.
詳細検索