演題

RS3-135-11-4

閉塞性大腸がんに対するステント治療と短期成績

[演者] 深澤 麻希:1
[著者] 飛田 浩輔:1, 鈴木 理之:1, 渡辺 陽太郎:1, 石川 健二:1, 町村 貴郎:1
1:池上総合病院 外科

【はじめに】閉塞性大腸がんに対する大腸ステントは2012年に保険適応となったが,適応基準に関する明確なエビデンスはまだない.閉塞性大腸がんは進行癌が多く,イレウスチューブあるいは人工肛門造設術という減圧処置が不可欠であり患者侵襲は少なくない.我々は2014年より,閉塞性大腸がんに対して,腸管減圧処置を回避,禁食期間の短縮,術前全結腸検査と根治手術までの期間短縮を目的に大腸ステント療法を導入してきたので,短期治療成績を報告する.【対象と方法】2014年8月以降当院を受診した閉塞性大腸がん症例.大腸閉塞を診断後大腸閉塞スコア(ColoRectal Obstruction Scoring System: CROSS)を用いて3点以下症例で可及的速やかに大腸内視鏡検査施行.透視下に大腸がん狭窄長を測定,Niti S大腸ステントを留置.留置後大量の便汁通過を確認,イレウス症状軽快後早期に経口摂取を開始,術前検査を進め,手術適応症例に根治手術を目指した.【結果】2016年10月までに15症例に実施.平均年齢は69.8歳(49-95),男女比10対5.腫瘍部位は,上行結腸2例,横行結腸4例,下行結腸1例,S状結腸4例,直腸4例.ステント留置に伴う穿孔,逸脱,挿入後の再閉塞は一例も認めなかった.入院時CROSSは平均0.87(0~3),入院からステント挿入まで平均2.8日,ステント留置後経口摂取までの平均期間3.33日でCROSSは平均3.87と改善した.15例中多発肝転移のある2例が追加治療を希望しなかったが,13例で全結腸内視鏡検査を含めた術前検査を行い,一例で重複結腸癌が発見された.13例でステント留置より平均20.62日後に閉塞大腸がん手術(先行開腹手術歴のある5例は開腹,その他8例は腹腔鏡手術)が施行された.非切除の一例が原病死.手術13例は,病理組織診断でstage II, 3例,stage IIIa, 1例,stage IIIb,4例,stage IV,2例で術後補助化学療法外来経過観察中である.【考察】閉塞性大腸がん症例に対する大腸ステント治療は,イレウスチューブあるいは人工肛門造設術という減圧処置を必要とせず,速やかに経口摂取再開と術前検査後の根治手術が可能である.進行癌症例ではCROSSを落とすことなく緩和治療が可能であり,閉塞性大腸がん患者QOLの維持向上に有用であると考えられた.
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